生体医工学
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医師の業務のタスクシフトによる臨床工学技士の業務拡大の現状と課題
土井根 礼音
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 107_2

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抄録

医師の業務負担を軽減し,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するために,医師の業務の内,医師免許を保有していなくとも実施可能な業務を,他職種に移管するタスクシフトが推進されている.本演題では,生命維持管理装置の操作,保守,点検を担う臨床工学技士に焦点をあて,医師の業務のタスクシフトによる臨床工学技士の業務拡大の現状と課題を紹介する.臨床工学技士の業務拡大に伴い臨床工学技士法が改正され,2021年10月より生命維持管理装置等を接続するための静脈路の確保や装置の接続,静脈路の抜針や止血,内視鏡ビデオカメラの保持や操作等を,臨床工学技士が医師と協働して行うことが可能となった.業務拡大により,医療機関での臨床工学技士の需要の増加が期待できる一方,新たに認められた業務におけるトラブル発生時の責任の所在が法的に不明確であること,また研修だけでは新たに認められた業務の実践が困難といった課題がある.教育の面では,臨床工学技士の養成に必要な教育内容と目標を定めた臨床工学技士学校養成所指定規則が見直された.これに伴い,養成校では新たに認められた業務の実践的知識・技術を教育するためのトレーニングキットの整備が求められる一方,トレーニングキットが高価であるため整備に苦慮している.本演題では,臨床工学技士の業務拡大の現状と課題を参加者と共有し,医用工学の視点から課題の解決策を議論することを目指す.

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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