生体医工学
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生体信号解釈におけるAIと数値シミュレーション ー心臓電気生理モデルを例としてー
富井 直輝瀬野 宏山崎 正俊佐久間 一郎
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 116_1

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抄録

開発環境のオープン化、モデル選択の自動化がすすむAI開発において、良質な学習データの収集は一層中心的な課題であると同時に、差別化の要素でもある。今日の医療現場では、医療機器から日々大量のデジタルデータが生み出されており、大量の学習データ収集は一見容易に見えるが、医療者間・機器間・施設間の計測データおよびラベルデータのゆらぎにより、十分な汎化性能を持つ学習モデルを訓練するための、良質な学習データセットの構築はいまだ容易ではない。このようなデータのゆらぎは結局の所、侵襲性の壁に阻まれ、内部の直接的な観察が困難であるという生体特有の問題に起因している。一方でさまざまなAI開発においても注目されている、効率的な学習データ収集に数値シミュレーションを応用するin silico学習のアプローチは、生体信号の解釈のための学習データ構築においても有効であると考えられる。本発表では心臓電気生理シミュレーションと深層学習を組み合わせて我々が開発した、心電図信号にもとづく心臓膜電位マッピング技術を紹介し、生体信号解釈のためのAIと数値シミュレーションの組み合わせの有用性について議論する。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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