2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 116_2
2060年頃には高齢化率が4割に到達すると推定される日本において、医療のタスクシフティングの需要は今後顕著に高まっていくことが想定される。医用画像など既にデータ化されているものに対して、AIは有用な実績を残しているが、実空間でのインタラクションを伴う作業(治療、検査、手術など)の場面ではまだまだ研究が不十分である。著者らは超音波検査を対象にAIとロボットを用いた検査の自動化に取り組んでおり、本発表ではディープニューラルネットワーク(DNN)を用いたスキャン動作の模倣学習モデルについて紹介する。本研究では胎児エコーを想定し、異なる大きさの腹部におけるスキャン動作を学習させ、未知の形状の腹部に対して欠損のない画像を取得できるようプローブの位置を調整しながら自律的に軌道を生成することを目標とした。DNNモデルの潜在空間は腹部形状情報を表現するように設計し、腹部の高さと幅を潜在空間にマッピングすることで適切なスキャン軌道を予測する。さらに取得画像の画素値をベースとした誤差関数を用いた重み付けを行うことで、正しい軌道からの逸脱を検知することが可能である。本モデルはファントムを用いて検証を行い、未学習の対象に対して、体表面にマークした理想軌道上のドットを91.7%スキャンすることに成功した。