生体医工学
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リハビリテーション領域におけるfNIRS計測
武田 湖太郎
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 130_1

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抄録

近赤外分光法(functional near-infrared spectroscopy, fNIRS)は,脳活動に由来した血流・ヘモグロビン濃度の変化を測定する脳機能計測法である.他の脳機能計測法に比べて簡便で安全性が高く,静音環境下での計測も可能であることから,2000年前後から幼小児の脳機能計測,心理学研究や聴覚研究などで活発に用いられてきた.さらには拘束性が低いという利点もあり,リハビリテーション領域や精神神経科領域をはじめとした臨床での応用が試みられてきた.一方で,脳活動を直接的には反映しない頭皮血流変化がfNIRS計測信号に混入すること,その変化が体幹をはじめとした体の動きに依存すること,そしてその量が無視できない比率であることが広く知られるようになった.この頭皮血流の問題はfNIRS計測結果と解釈に大きく関わるため,リハビリテーションの臨床においてfNIRS計測を応用しようとする研究の発展がやや停滞する要因のひとつにもなった.現在ではいくつかの頭皮血流成分の除去法が提案され,一部は販売されている計測装置に組み込まれている.本講演では,頭皮血流成分と体動の関係についてこれまでの実験結果を用いて解説するとともに,リハビリテーションに関わる脳機能計測結果の解釈に頭皮血流成分がどのように関わるのか,および,その成分除去方法について概説する.

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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