抄録
近年,米国におけるウエストナイル熱,近隣諸国におけるデング熱,チクングニヤ熱等の蚊媒介性疾患の流行を受け,我が国でも新興・再興感染症の発生を予防するうえで,蚊類の分布・生態を把握することは極めて重要である.横浜市内の主要種の一つであるアカイエカ群は,人・鳥に対してともに吸血嗜好性が高く,ウエストナイルウイルス侵入時にはメインベクターとなる可能性が極めて高い.今回,「横浜市蚊媒介感染症サーベイランス事業」で捕獲されたアカイエカ群について,遺伝子による分類法で亜種同定を行った.調査は市内 19地点(市内公園,港湾地区)で行ったが,特にアカイエカ群個体数の多かった港湾地区2地点(鶴見区大黒ふ頭,中区本牧ふ頭)を中心に,アカイエカとチカイエカの分布状況を報告する.