生体医工学
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人工細胞と管状ナノ構造体を利用した神経接続技術
八木 透宮本 義孝榛葉 健太ホウ ソキ菅野 翔一朗
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 138_2

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抄録

当研究グループは,ブレインマシンインタフェース(BMI)向けの,高い生体適合性を有する刺激電極の開発を目指している.より高性能なBMIを実現するには電極を微小化・高集積化する必要がある.そこで我々は,人工細胞膜に埋め込んだDNAナノチューブやカーボンナノチューブなどの管状ナノ構造体(ナノチューブ)を電気シナプスとして利用し,神経細胞を細胞内刺激する電極を提案している.この電極では,人工細胞膜の安定化の目的でボール形状のゲル物質周りに脂質二重膜を構成し,ナノチューブを配置する.これまでに,脂質二重膜への管状膜タンパク質導入と光学的評価,マイクロチャンバアレイへの脂質二重膜一括生成法の開発,ゲルボール上への脂質二重膜形成と電気特性の評価実験等において有益な成果を得た.現在はDNAナノチューブまたはカーボンナノチューブを脂質二重膜に導入して,その物質輸送機能について評価している.このように神経組織と電極を電気シナプスを介してソフトに接続することで高い生体適合性を実現する細胞内刺激電極は,神経接続技術の新たなブレイクスルーをもたらすと考えられる.

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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