生体医工学
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カルシウムイメージング -その利点と注意点-
小山内 実
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 139_1

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抄録

カルシウム (Ca2+) イメージングは、カルシウム感受性蛍光色素の蛍光量変化を光学イメージングにより計測することで、細胞内カルシウム濃度を計測する手法である。このCa2+イメージングによる神経活動計測が最初に行われたのは 1980 年代後半だと思われるが、その勃興期は、神経活動計測の基本である電気生理学にも精通し、技術力及び計測科学に造詣が深い研究者が開発・利用してきた計測手段であった。しかし、近年では、イメージング装置も使いやすくなり、解析のツールも多く出回るようになってきたため、多くの研究者が用いるようになってきた。また、20 世紀のCa2+イメージングの主流は、シナプスから単一細胞をターゲットにしたものが多かったが、近年では、多細胞イメージングや、広域バルクCa2+イメージング、MRI を用いた擬似カルシウムイメージング法、などのマルチスケール・マルチモーダルCa2+イメージングとして発展している。しかし、Ca2+イメージングは神経活動を直接計測しているのではなく、あくまで Ca2+濃度変化を計測していること、イメージングの方法によっては、時間情報の取扱いに注意が必要であること、など、その計測法の特徴を考慮に入れていない研究報告が多数なされている。そこで、本講演では、 Ca2+イメージングの原理及びその利点と注意点をお話しすると共に、マルチスケール・マルチモーダル Ca2+イメージングの例を紹介する。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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