2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 144_1
小学生の足部において外反母趾や扁平足などの足部変形が増加している.外反母趾が発生するメカニズムに着目すると,扁平足や踵の変形などの筋骨格系の身体的要因に加え,運動特性が関係している.そのため,発達状況の経時的な評価が求められるが,足部の発達状況および外反母趾の発生メカニズムは十分に解明されていない.そこで本研究では,足部骨格3D計測システムを開発し,足部3D計測データと,足底部の接地状態から小学生の足部の発達特性,外反母趾に関連する足部骨格の特徴を明らかにすることを目的とした. 研究デザインは縦断的追跡研究である.小学生124名を対象に4年時と6年時に足部計測を行った.開発システムは,スマートフォンを用いて足部周囲を撮影し,足部の3次元再構成を行い,特徴量を抽出することで評価を行う.本研究では足部高,舟状骨高・横方向角度,踵幅,M1M2角,拇指角を含めた計10項目に着目した. その結果,成長に伴い足長,足部高,前足部幅,踵幅は増加したが,舟状骨高は低下していた.また,舟状骨の横方向変位が大きいほど,M1M2角が有意に増大していた.以上より,内側楔状骨,中間楔状骨周辺の可動性の増大によるM1M2角の増大から,前足部への荷重につながり,歩行の中で第1中足骨のねじれが発生する可能性が推察された.