2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 168_1
【目的】一般にAI画像診断支援システム開発では学習用有病データが大量に必要だが、その収集は容易ではない。そこでFDG-PET(以下PET)/CT像上病変検出の検討として、収集容易な病変を含まない正常PET/CT像を学習した深層画像スタイル変換器Pix2Pixによる異常検知での肺病変検出に向け、肺病変強調法を提案する。【手法】提案法は正常 CT像から正常PET像へのスタイル変換に基づく手法である。入力CT像の肺野外除去と画素値正規化を行い、正常像学習Pix2Pix を用いaxial CTスライス像から正常PETスライス像を推定する。推定PETスライス像に未学習の病変FDG異常集積は描画されないことが期待されるため、推定・入力PET像間の差分により病変強調像を得る。強調評価には病変とその周辺領域のPeak Signal-to-Ratio(PSNR)を用いる。【結果・考察】肺病変を1つ以上含むPET/CT像39例に提案法を適用した。病変強調像上の病変PSNRは平均16.76、標準偏差は21.63であった。Wilcoxson符号順位検定により、提案法での病変強調像上の病変PSNRは診断用PET像上の病変PSNRより統計的有意に向上していたことを確認した。【結語】結果から正常像学習Pix2Pixを用いた異常検知に基づく本手法の有用性が確認された。今後は提案法を用いた病変検出処理を検討する。