2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 169_1
本研究では、硬性鏡内部のロッドレンズに生じる傷や汚れについて定量評価し、臨床現場での点検指標を作成することを目的とする。経年使用により硬性鏡内部に汚れが蓄積すると、観察画面領域の全体が白濁し、診断や治療に支障をきたす。現在、内視鏡業務に従事する医師は、経験により画面状態を評価しているが、客観的に評価する指標は未だ確立されていない。 本研究では、臨床利用された3種類の状態(正常、ロッドレンズ割れ、塵埃)の硬性鏡を用意した。これらを評価するため、医療用内視鏡システムや、光学視管テスタなどを組合せ、硬性鏡内部を焦点の合うロッドレンズ間ごと3ヶ所で観察及び画像を保存した。画像処理はImageJを用いて、保存した画像を2値化処理し、ロッドレンズ内に占める汚損の占める割合[%]を1本の硬性鏡につき各ヶ所5回測定し、平均値を求めた。 測定結果より、ロッドレンズ間3ヶ所での汚損の占める割合は、正常(1.24%、0.794%、0.875%)、塵埃(2.61%、11.4%、5.54%)、ロッドレンズ割れ(35.0%、57.7%、36.1%)となった。これらの結果から、汚損の割合が大きい箇所が1ヶ所でもある場合、見え方に異常が生じると考えられた。 今後の展望は、硬性鏡を覗いた時の見え方(画像)を医師へのアンケート実施し、汚損の占める割合[%]とで比較・検討を行い、硬性鏡の使用可否について閾値を設定する。