生体医工学
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ウェアラブル心電デバイスを用いた S波基準のQRS振幅抽出による呼吸数推定
北河 茜村田 耕一古田 雅史務中 達也
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 180_1

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抄録

心拍数と呼吸数は心身への負荷で変化することが知られ、その比率と心身状態との関連が議論されている。各計測には異なるセンサが必要で、呼吸計測には体を締め付けるベルト式が一般的である。本研究ではセンサ1種で簡便に心電位と呼吸数を計測するために、胸骨上で計測した心電波形から呼吸数を推定することを目的とする。 筆者らは、日常生活環境下の体動による胸筋ノイズを避けるために、胸骨上に貼り付ける小型ウェアラブル心電デバイスを開発してきた。胸骨上での心電波形は、S波が大きくなる傾向がある。そこで、S波を基準とするRピーク検出からQRS振幅を抽出し、その時系列データ の周波数解析により呼吸数を推定する手法を提案する。社内実験5例における安静座位5分間の計測データを用いた検証の結果、提案手法の推定呼吸数と呼吸ベルトで計測した呼吸数との誤差は平均 1.25回/分であった。CM5誘導の心電波形に対する先行研究の再現手法で推定した呼吸数の誤差は平均 1.42回/分で、提案手法は複数の貼り付け位置での心電波形に対して適応可能であり、先行研究と同等の精度で呼吸数が推定できることを確認した 。今後は、歩行時のデータ等を用いて本手法の運動耐性を検証する。ウェアラブル心電デバイスに提案手法の呼吸数推定を追加することで、被計測者の負担を軽減した同時計測を実現でき 、感性計測分野だけでなく幅広い分野に貢献できると考えられる。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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