生体医工学
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超音波エコーの超解像と超音波ベクトルドップラーとにおける後天的な適応型正則化
炭 親良鳥居 直晃加藤 照都藤原 琉暉
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 189_1

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抄録

我々は、超音波エコーの超解像と超音波ベクトルドップラー観測を開発している。前者はいわゆる逆フィルタリングをベースとし、そのままでは不安定な系であるゆえに正則化やMAP(maximum a posteriori)を施して安定化することを行ってきた。スペックル低減による高分解能化を狙う場合と、組織の反響特性(反射率や後方散乱係数)を定量化する場合とがある。後者は独自に開発した多次元自己相関法や多次元クロススペクトル位相勾配法なるドップラー法により、探触子を対象にあてがうだけで観測対象の変位方向に依らず例えビームと直行する横方向に変位しても変位をベクトルとして高精度に観測でき、計測手技に簡便性を齎し観測対象を広範化できる。軟組織と血流の動態を同時に観測でき、心臓や血管(脈を含む)や心拍と同期して変形する腹部臓器や運動器(手足)のin situ観測や、体外からの力学的な刺激による応答の観測ができる。この観測においても同様に安定化をしてきた。正則化処理は先見的に行われることが多いが、本稿ではこれらのシミュレーションと実験における処理において後天的で空間的に適応型の正則化を行った結果を報告する。直接に観測された分布において局所の標準偏差や分散や分散のべき乗(整数乗とは限らない)を推定し、これを正則化パラメータに反映させる。多次元クロススペクトル位相勾配法の方が元より安定しており、高SN比の同エコー信号において、多次元自己相関法に効果があった。超解像処理の場合を含め、正則化パラメータのロバスト性についても報告する。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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