生体医工学
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多価不飽和脂肪酸の培地内添加によるクラスター形成がヒトiPS細胞由来心筋細胞の拍動に及ぼす影響  
廣井 洸太矢野 瑞菜中村 孝夫佐藤 大介馮 忠剛
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 192_2

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抄録

研究背景・目的:現在、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から分化させた心筋細胞の応用が期待されており、既に臨床試験の報告もされている。先行研究にてゲル上で培養したヒトiPS細胞由来心筋細胞において培地内に脂肪酸を添加した場合、添加していない場合と比べて細胞クラスターが多く形成されることが明らかとなった。本研究は、多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸(DHA)及びアラキドン酸(AA)の培地内添加が培養心筋細胞拍動およびクラスター形成による拍動に及ぼす影響を調べる。実験方法:ヒトiPS細胞を心筋細胞へ分化誘導し、分化15日目の拍動心筋細胞をコラーゲンゲル上に播種し、DHA(20μM)とAA(50μM)が別々に添加した培養液で培養した。本研究室で開発したvision-based拍動力測定システムでコラーゲンゲルの拍動力を測定した。また、有限要素法(FEA)を用いてクラスター形成した細胞のモデルを作製し、非クラスター形成との比較をシミュレーション解析により行った。結果:心筋細胞の収縮率の有意な向上に対して、拍動力の向上は無かった。FEA解析によりクラスターと非クラスターでは、均一な非クラスターの場合はゲルの拍動力が高い傾向を示した。また、複数のクラスターの拍動や非同期的なクラスター拍動がゲルの拍動力に及ぼす影響も検討した。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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