2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 193_1
ヒトiPS細胞由来心筋細胞を用いて重度心疾患を治す心臓再生医療が注目されている。心筋細胞には、心室筋細胞、心房筋細胞、ペースメーカー細胞の3種類のサブタイプがある。iPS細胞から分化された心筋細胞は、3種類のサブタイプ心筋細胞が混在しており、各々のサブタイプ心筋細胞に特異的な分化・分離法の確立を求められている。そこで、心室筋細胞外基質(vECM)で作製したバイオハイドロゲルにヒトiPS細胞から分化した心筋細胞を包埋培養することで、心室筋細胞への分化促進を検討し、バイオハイドロゲルの拍動ダイナミクスの解析によりその促進効果を評価する。コラーゲンゲル(1.5mg/ml)をcontrolとして、同濃度のコラーゲンにvECM濃度が0.56mg/ml、1.11mg/mlを混合した計3種類のドーナツ型のゲルを用意し、一個のゲルにつき、90万個と120万個の細胞を包埋播種し2週間に培養した。これらのバイオハイドロゲルをCantileverに掛け、その拍動動画からCantileverのたわみ量を測定し、これに対して片持ち梁の横振動解析によりゲルの拍動力ダイナミクスを得た。その結果、細胞数90万個を包埋したゲルの方が、120万個のゲルよりも全体的に拍動力が大きい傾向を示し、vECM濃度0.56mg/mlのゲルにはその拍動ダイナミクスが心室筋の拍動特徴に近づいた。