生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
ペルチェ素子を用いた小動物低体温体外循環回路の開発に関する研究
馬場 亮佑藤井 豊住倉 博仁
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 207_1

詳細
抄録

体外循環では、血液と人工肺との接触等によって炎症反応が生じるという問題があり、小動物体外循環モデルを用いた炎症反応に関する評価が行われている。ここで、体外循環には低体温にすることで生体の酸素消費量を減少させる手法がある。そこで本研究では、小動物低体温体外循環回路を開発し、低体温が炎症反応に対しどのような影響があるのかについて評価することを目的とした。本研究では、既存の小動物体外循環モデルの回路構成を変更せずに冷却システムを構築するため、ペルチェ素子を用いた冷却部を設けた。冷却部は、縦横40mm、厚さ4mmのペルチェ素子と縦横40mm、厚さ10mmの銅板から構成し、銅板の表面にチューブが収まる程度の溝を設けることで、外径5mm、内径3mmのチューブを覆う構造とした。今回、流体が冷却部を一回通過する場合について、熱流体解析と水実験による評価を行った。解析は定常解析とし、ペルチェ素子10℃、作動流体を水37℃、周囲温度22℃、入口流量30ml/minとして解析を行った。一方、水実験は、恒温槽、ローラーポンプ、冷却部等から構成し、実験時の温度や流量等の条件は解析と同様とした。冷却部前後の流体の温度差は、解析では1.4℃生じることが確認され、水実験では0.69℃となった。解析値と実験値の誤差に関しては、物性等の設定により生じたと推察された。解析と実験の両方で冷却部前後の流体の温度低下が確認されたことから、本冷却システムの可能性が示唆された。

著者関連情報
© 2023 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top