2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 235_1
装具や介護動作等の評価のために,薄く柔軟な装着型圧力分布センサへの要求が高まっている.検出領域内に配線や電極を持たない,薄く柔軟性の高い圧力分布の計測手法として,導体間の接触抵抗と電気インピーダンストモグラフィを利用した方法が提案されている.本手法では,穴の空いた絶縁性材料を電圧を印加した導電体と接地電極を配置した導電体の間に配置し,圧力分布に応じた電位分布を周囲電極の電位情報から逆解析により計測する.これまで身体への装着については十分検討されていないため,本研究では触覚を阻害せず人体へ装着可能なセンサ開発を目的とし,皮膚を一方の導電体としてセンサに組み込む手法を提案する.その際,生体電極の接触抵抗や個人差などの影響が課題となるが,計測周波数の検討や較正により解決を図る.センサの実装においては材料を検討し,200μmの厚さと十分な柔軟性を実現した.最初に力に対する接触抵抗変化の評価を行い,結果として抵抗値の変化が確認できる5Nまでの計測可能性が示された.次に点荷重に対して圧力分布の再構成を行い,荷重推定位置の誤差を評価した.その結果,1kHz以上の交流計測や較正が有効であることを確認し,40×80mmの計測面において誤差距離10mm以下を達成した.以上から,皮膚をセンサに組み込む新手法により,薄く柔軟な装着型圧力分布センサの開発可能性が示された.