2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 311_1
穿刺吸引細胞診は甲状腺結節の術前診断法として普及している。近年の深層学習(AI)による画像解析技術の飛躍的な向上に伴い、AIを用いた細胞診診断補助システムの実現が現実味を帯びてきた1 。自己教師あり学習を用いると教師ラベル付き画像が少数でも高い分類精度を実現できることが知られており、本研究ではDINOを甲状腺細胞診画像分類へ応用した。データセットとして、教師ラベル付き甲状腺病変画像データを独自に構築した(良性病変、濾胞腺腫、濾胞癌、好酸性細胞型濾胞性腫瘍、乳頭癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、リンパ腫の全9クラス、全データ数148,981枚)。ViT-SモデルをDINOにより学習させ、教師ラベル付き画像の割合を100%、10%、1%に変化させて教師あり学習を行うとPR-AUC値は0.952、0.937、0.895となり、教師ラベル付きデータが少なくても高い精度を維持した。ImageNet学習済みのViT-Sモデルを用いて同様の実験を行った場合、PR-AUC値はそれぞれ0.894、0.791、0.626となり、教師ラベル付きデータが少なくなるにつれて性能は劣化した。
1 M. Hirokawa et al., Cancer Cytopathol., 2022, doi: 10.1002/cncy.22669. Online ahead of print.