生体医工学
Online ISSN : 1881-4379
Print ISSN : 1347-443X
ISSN-L : 1347-443X
自己教師あり学習を用いた甲状腺細胞診画像の自動診断補助システム開発
新岡 宏彦安部 政俊鈴木 彩菜長原 一宮内 昭赤水 尚史廣川 満良
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 311_1

詳細
抄録

穿刺吸引細胞診は甲状腺結節の術前診断法として普及している。近年の深層学習(AI)による画像解析技術の飛躍的な向上に伴い、AIを用いた細胞診診断補助システムの実現が現実味を帯びてきた1 。自己教師あり学習を用いると教師ラベル付き画像が少数でも高い分類精度を実現できることが知られており、本研究ではDINOを甲状腺細胞診画像分類へ応用した。データセットとして、教師ラベル付き甲状腺病変画像データを独自に構築した(良性病変、濾胞腺腫、濾胞癌、好酸性細胞型濾胞性腫瘍、乳頭癌、低分化癌、未分化癌、髄様癌、リンパ腫の全9クラス、全データ数148,981枚)。ViT-SモデルをDINOにより学習させ、教師ラベル付き画像の割合を100%、10%、1%に変化させて教師あり学習を行うとPR-AUC値は0.952、0.937、0.895となり、教師ラベル付きデータが少なくても高い精度を維持した。ImageNet学習済みのViT-Sモデルを用いて同様の実験を行った場合、PR-AUC値はそれぞれ0.894、0.791、0.626となり、教師ラベル付きデータが少なくなるにつれて性能は劣化した。

1 M. Hirokawa et al., Cancer Cytopathol., 2022, doi: 10.1002/cncy.22669. Online ahead of print.

著者関連情報
© 2023 社団法人日本生体医工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top