2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 311_2
【はじめに】生体表皮下の汗腺および末梢血管系は,皮膚交感神経に支配されており,これら汗腺の発汗活動と末梢血管系の動態は交感神経活動の興奮度を反映する.【目的】本研究室では汗腺および動脈を測定対象としてきた.本研究では,OCTを用いて外部刺激に対する手指小静脈の動態機能イメージングを行い,静脈がどのように交感神経を反映しているかを捉えることを目的とした.【方法】波長1300nmのSpectral Domain OCTを使用し,手指小静脈の断層画像を取得した.左手でOCT撮影,右手で握力負荷を行った.測定開始から5秒間の安静状態の後,直径3cmの棒を10秒間握らせ,再び安静状態とした.被験者は22歳 男性1名,22歳 女性1名で行った.【結果】握力負荷に対する静脈イメージの変化を経時的に取得できた.結果の一例では,断面は負荷前の0秒を100%とすると,負荷中は76.5%まで収縮し,負荷終了後は94.3%まで再拡張した.血管には交感神経による収縮機能がある.確認された静脈断面変化は,握力負荷で刺激を受けた交感神経によって血流が変化し,静脈が収縮したものと考えられる.【結論】OCTを用いて握力負荷に対する手指静脈イメージを取得することができた.交感神経が優位となる握力負荷に伴い静脈の断面が変化していることから,静脈の断面変化により交感神経活動を捉えている可能性が示唆された.