生体医工学
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生体医工学×知のデザイン -臨床研究における学際の必要性-
岡田 未奈
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 97_1

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抄録

 近年、現代の高度な医療技術の進歩、高齢化社会による患者背景・既往歴の多様化などによって、医療行為は様々な知見や活動が複合的に作用しており、その因果関係は極めて複雑である。私たちは様々な職種や領域の分業化しているが、時に自身の専門性に関わらず、多くの情報を分析・考察することが求められている。そして、目の前の課題解決に取り組むためには、単一的な知識に留まらず、複数の専門知を統合しながら新しいアイデアを生み出し、実践的なアプローチをすることが求められている。 知を統合する学問として「学際(interdisciplinarity) 」がある。学際は通常、複数の専門分野の研究者たちが協働し、それぞれの角度から課題解決に取り組む方法論とされているが 、学際の取り組みそのものが、個人のなかであらゆる知を探索し統合する思考力のひとつであると考える。 医療従事者にもあらゆる知をデザインする能力が必要であり、生体医工学の分野においても、医学や工学だけに留まらず、取り組みたい課題に応じて、他の専門分野の知見を積極的に取り入れ、時に自らが積極的に参加し、理解する必要があると考える。 では、これからの臨床研究の発展とその成果を目指すにはどうしたら良いだろうか。ここでは、「デザイン思考」、「学際」、そして「一人称」を用いた研究プロセスの方法論について一考察を述べたい。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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