生体医工学
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生体医工学×医工連携~自身の開発経験談~
元山 明子
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 96_2

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抄録

 医療の進歩に「開発」は無くてはならないものであり、より安全・効率的・経済的に優れた医療を提供するために先人らの知恵は現代に引き継がれている。なかでも医療機器や医療で使用される測定器の開発では、医療と工学の共通知識を持つ臨床工学技士の担う役割が大きく、日本臨床工学技士会登録情報では2022年度までに77件の医療機器・測定器製品が臨床工学技士によって開発されている。専門的な単独分野、「医」の臨床現場(医療分野)と「工」のものづくり企業(工学分野)を連携する事を「医工連携」と呼ぶが、臨床工学技士はそれぞれの単独分野の専門用語を共通言語に置き換えることが可能で、開発のみならず仲介役で活躍する先駆者も存在する。医工連携そのものが生体医工学であり、必要なコンピテンシーの中に生体医工学の知識を有することは必須である。 筆者は非観血式血圧計(以下血圧計)腕帯の客観的な点検を実現する空気漏れ検出器「Emora」を開発した。血圧計は様々な施設が多数保有し、その使用頻度は高く、修理件数も多い。修理は腕帯やチューブからの空気漏れが多いが、点検方法に課題があると考え、空気漏れを客観的に検出できる測定器の開発に至った。今回のセッションでは自身の開発経験談を中心に、医療と工学の双方の知識を保有し連携させることが、学術的活動・社会貢献にいかに役立つかをお伝えしたい。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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