生体医工学
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認知機能検査時における脳波の特徴について
中根 滉稀鷲見 久遠杉浦 明弘藤掛 和広伊藤 菊男高田 宗樹
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 103_2

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抄録

 近年、社会の高齢化に伴う認知症患者数の増加が深刻な問題となっている。特にアルツハイマー型認知症はその中でも主要な疾患の一つであり、早期発見と適切な治療が重要視されている。この背景の下、認知症治療薬として期待されるレカネマブが薬事承認されたことは、多くの患者とその家族にとって希望となっている。

 しかし、レカネマブ治療を受けるためには、アミロイドPET検査や髄液検査を通じて、患者がアルツハイマー型認知症であることを確認する必要がある。これらの検査は高額であり、また患者にとっても身体的、心理的な負担が大きいという問題がある。さらに、これらの検査設備が整っていない地域では、診断へのアクセス自体が困難な場合も考えられる。

 このような状況を改善するために、簡易的かつ低侵襲で、広範囲にわたる医療現場で利用可能な診断手段の開発が急務とされている。脳波計はそのような要件を満たす潜在的なツールであると考えている。特に簡易型脳波計は、非侵襲的かつ比較的安価で使用方法も簡単という利点が挙げられる。これを用いて認知症が疑われる対象者の脳波の特徴を解析することで、アルツハイマー型認知症の早期診断に役立てることが期待されている。

 本発表では、若年者と老年者に対し認知機能検査時における検査スコアと脳波パターンから、特にアルツハイマー型認知症の早期発見に有効な脳波の指標について議論する。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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