生体医工学
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スパースベイズ学習を取り入れた電気インピーダンストモグラフィ(SBL-EIT)法による、ストッキング圧迫下の健常者脹脛における長時間立位時の生理的むくみイメージング
淺野 航太
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 146_2

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抄録

リンパ浮腫治療の治療には弾性ストッキングの着用が有効とされているが、その効果の可視化計測は着用前後にとどまり、着用中の計測は現在に至るまで達成されていない。本研究では、電気インピーダンストモグラフィ(EIT)法により、弾性ストッキング着用中の健常者脹脛における体液分布の変化を電気的に解析することを目的とした。

 実験対象は健康な男女各3名であり、ストッキングについては圧迫圧力の異なる弾性ストッキング2種類と、圧迫を目的としない一般的なストッキングの計3種類を各被験者に使用した。実験装置はEIT計測装置、脹脛用ストッキング、比較対象として体成分分析装置であり、被験者はEIT計測用電極の上から弾性ストッキングを着用し、60分間の立位維持において5分ごとにEIT計測と体成分分析装置での計測を行った。

 計測インピーダンスより算出された空間平均導電率は、起立時間の増加に伴い増加傾向を示し、より圧迫圧力の大きいストッキングを使用した場合の方が導電率の増加率は小さくなった。これは圧迫圧力の大きいストッキングの方が細胞外液の廃液を促進し、生理的むくみを抑制することを示唆している。また、EIT計測による導電率変化は体成分分析装置により測定されたインピーダンス変化と相関を示し、SBL-EITは特に皮下脂肪組織(SAT)の過剰な細胞外液を画像化するため、導電率分布を十分に再構成した。

今後EITの測定精度向上に向け、ストッキング圧迫がEIT計測に及ぼす影響のさらなる検証が必要である。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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