2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 156_2
晩産化が進む日本において,障害児や医療的ケア児の増加が課題となっている.障害児や医療的ケア児は,自身の社会参加の困難性に加え,育児を担う両親や兄弟の負担も大きい.令和5年12月22日に閣議決定されたこども大綱において「障害のあるこども・若者,発達に特性のあるこども・若者の地域社会への参加・包容(インクルージョン)を推進し,それぞれのこども・若者の置かれた環境やライフステージに応じて,一般の子育て支援との連続の中で,その発達や将来の自立,社会参加を支援する.」とあるように,インクルーシブな社会実現を目指した取り組みが推進される中で,こどもやこどもを育てる両親を取り巻く環境整備は急務である.健常児の育児においても,核家族化に伴い両親の育児負荷は増大しており,男女ともに産後うつが問題となるなど,育児環境の改善が求められる.
このような状況において,障害児や医療的ケア児を含むこどもがよりよく生きていくための支援技術,また,障害や医療的ケアの程度を軽減するための支援技術として,生体医工学領域の知見・技術の活用が期待される.
本演題では,このような状況を踏まえ,今後取り組むべき課題を議論するため,演者が取り組んでいる新生児育児の体験を目指したセンサ付き新生児人形の研究や,分娩状況評価システム,臍帯切断デバイスの研究といった分娩にかかわる研究を紹介する.