生体医工学
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医療的ケア児の支援に関する教育・医療・福祉等の連携
小谷 博子
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 160_2

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抄録

 2021 年に「医療的ケア児支援法(医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律)」が施行され,医療的ケアの有無にかかわらず,子どもたちがともに教育を受けられるよう最大限に配慮すること,そして個々の状況に応じて関係機関が密に連携し,医療・保健・福祉・教育・労働について切れ目なく支援することが国の責務とされた。本法の施行により,学校や保育園への通園(学)において医療的ケア児の受け入れ体制が拡充され,日常的に酸素吸入や人工呼吸器の操作などの医療的ケアが必要な子どもたちが,訪問教育だけでなく,学校に通学するケースも見られるようになっている。

 医療的ケア児を保育・教育の場に受け入れることは、医療的ケア児本人の健やかな成長・発達を促すだけでなく、まわりの子どもにおいても、多様性を受け入れる素地につながるなど、波及的な効果も確認されている。子どもたちの相互理解は互いの成長へと発展する可能性を持っており、「多様性」を体験的に理解することは、子どもたちの成長にとって大切なことである。

 医療的ケア児が日常生活を営むためには、日常的な医療的ケアと医療機器による支援が必要である。今後は医療者だけでなく,医療機器を扱う非医療者(研修を受けた教員や保育士など)が増加していくと予想されており、多職種による連携体制の構築が必要であろう。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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