生体医工学
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胸部ステントグラフト内挿術におけるステントグラフト留置条件に関する実験的検討
三堀 雅弥及川 哲子奥 知子本橋 由香山内 忍佐藤 敏夫稲葉 佑飯田 泰功
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 245_1

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抄録

【目的】オープンステントグラフト(Frozen Elephant Trunk:FET)法を施行後、2期的に追加のステントグラフト内挿術(TEVAR)を実施する場合がある。この場合にはFET内にステントグラフト(SG)を追加留置するが、FETとSGの開発企業が異なっていることから、追加留置するSGのオーバーサイズや挿入深さなどの条件は明示されておらず、臨床現場では主に術者の経験や施設の方針に頼って決めているのが現状である。そこで本研究では、FET内にSGを挿入して引張試験を行い、オーバーサイズや挿入深さを決めることができるパラメータについて検討した。

【方法】引張試験では内径26mmの人工血管内にメーカー推奨の外径29mmのFETを挿入し、そこに外径30mmのSGを追加留置した。FETとSGのオーバーラップ長を変化させて、SGの移動量と引張荷重の関係を調べ、そこからずり降伏応力を求めた。次に、複数の内径を変えた人工血管にFETとSGを追加留置して同様の実験を試みた。

【結果及び考察】人工血管にFETを挿入し、そこにSGを追加留置する場合、人工血管-FET-SGのサイズの組み合わせに対して、ずり降伏応力はほぼ直線的に変化することがわかった。このことから、ずり降伏応力は人工血管-FET-SGの組み合わせに対して、挿入深さごとのずり降伏荷重を計算できる有用なパラメータになりうることが示唆された。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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