生体医工学
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救急搬送における輸血の必要性の予測-量子計算と機械学習による特徴量選択結果の比較-
光山 彩花原 武史周 向栄三宅 喬人岡田 英志藤田 広志
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 246_1

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抄録

外傷により大量出血した場合、輸血が必要になる。しかし輸血は副反応のリスクがあるため、不必要な輸血は避けるべきである。救急搬送された患者に対して輸血の必要性を測る指標の一つにフィブリノゲンがあるが、検査に時間がかかる。

本研究は、病院到着前に収集できる特徴量を用いた輸血の必要性の予測を目的とする。ここでは、収集できる情報から予測に有効な特徴量の組み合わせについて、量子計算を用いた選択法と機械学習でよく用いられる選択法を比較した結果を明らかにする。

病院到着前に得られる特徴量は年齢、性別など15種類あり、これを説明変数とする。量子計算法は、相互情報量を最大化する特徴量の組み合わせを探索する。量子計算は、D-wave社のクラウドサービスを使用する。機械学習法は、ステップワイズ法を用いてAUCを最大化する特徴量の組み合わせを探索する。特徴量組み合わせ後は、SVM、ロジスティック回帰、LDA、QDA、RFを用いて分類を行い、ROC曲線下面積(AUC)を用いて性能を比較する。

量子計算法が明らかにした特徴量の組み合わせは13項目(年齢、性別、抗血小板、病院到着までの時間、応急手当、最高血圧、最低血圧、心拍数、呼吸数、GCS・開眼、GCS・言語、GCS・運動、体温)であり、LGのAUCが0.751で最大となった。機械学習法が明らかにした特徴量の組み合わせは5項目(年齢、性別、最高血圧、心拍数、GCS・開眼)であり、QDAのAUCが0.761で最大となった。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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