生体医工学
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医療機器の稼働状況を示す用語は”稼働率”なのか-システマティックレビューと実態調査による考察-
今田 寛人大石 杏衣渡邉 研人
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 248_2

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抄録

[緒言] 第5次医療法改正により義務化された、医療機器安全管理に関する有効性や安全性のエビデンスレベルは現時点では低い。その原因の一つとして、根拠に基づいた指針やガイドラインが不十分であることがあげられる。本研究では、指針やガイドラインを策定する際に必要な用語とその定義について調査した。

[方法] ①2023年11月に医学文献情報検索サイトで医療機器の稼働状況についての文献を網羅的に調査した。②2022年4月に1,030施設に汎用医療機器保有台数調査を依頼し、稼働率の算出方法を収集した。

[結果] ①371編が抽出され14編が調査対象となった。稼働状況を示す用語は、”貸出率”、”稼働率”、”実稼働率”の順に多く、その他、”回転率”、“稼働状況”、“貸出時間”、“在庫台数”が使用されていた。稼働状況を示す用語の算出方法は50%(7/14編)のみ記載があった。②有効回答は188施設であった。稼働率の算出方法は、(貸出台数/保有台数)×100が105施設と最も多かったが、その他12種の算出方法があった。

[考察] 医療機器の稼働状況を示す用語が記載されている日本語文献は現在のところ14編しかないが、用語は多数存在し、その定義は十分に文献に記載されていなかった。

[結語] 医療機器の稼働状況を示す用語とその定義が統一されていなかった。指針やガイドラインを策定し、根拠に基づいた医療機器管理を行うことで医療機器の有効性と安全性の向上に寄与すると考えられる。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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