2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 318_2
高齢者,要支援・介護者の肺炎の早期発見・予防のために,日々の体温・呼吸計測における負担を軽減,継続的な把握を可能とすべく,著者らはこれまで,ベッドシーツ内蔵型システムを開発してきた.それらの実用化に向け,特に体温計測について,着床・姿勢変化時の推定に限られ,連続・実時間計測には至っていなかった.これを解決すべく,今回新たな体温推定方法を検討するとともに,別途開発を行ってきた,呼吸計測システムとの融合を行い,見守り支援システムを構築した.具体的には,サーミスタ及び熱抵抗体が一体化されたセンサモジュールが,胸郭下に3つ,横1列に配置され,1分ごとに身体体温によるサーミスタ出力上昇が検出される.これに対し近似曲線式を適応し,予め集積された校正データを介して,適切なセンサ出力上昇の収束時間,即ちセンサ出力が体温に到達する時間が推定され,これを用いて体温が算出され,これらを繰り返すことにより,実時間計測を可能とした.なお呼吸計測については,シーツ内圧力センサの出力変化におけるピーク値・間隔から,呼吸変動性が検出され,前述の体温計測システムと一体となっている.今回,健常成人11名を対象とし,体温については市販口腔体温計と,また呼吸については鼻腔サーミスタと,本システムの同時計測を行った結果,両者の良好な一致が確認され,医療・介護施設や在宅における,体調管理・見守り支援への応用が期待される.