生体医工学
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薬学領域からみる生体医工学研究
寺薗 英之
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2024 年 Annual62 巻 Abstract 号 p. 84_1

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抄録

これまで様々な生命観測技術の発展により、多くの生命現象が解明されてきた。しかしながら、まだまだ解明できていない生命現象が豊富にある。既存の分子生物学的技術や電気生理学的技術、光学的技術などを用いて解明できるものが多くあるが、医学と工学を融合による生体医工学研究は、これまでにない新たな技術を開発し、未解明の生命現象を明らかにできる可能性を秘めている。医薬品開発において、アンメットメディカルニーズの高い疾病に対する治療薬の開発は非常に重要である。特にがん研究の分野においては分子標的薬の劇的な進歩があるものの、未だ根治には結びつかない症例が多い。理由の一つとして、がんが進行するとがん組織内の遺伝的多様性(heterogeneity)が多岐にわたり、抗がん薬が奏功する細胞と特定の抗がん薬に耐性を持つ細胞などが存在するようになる。このがんheterogeneityに着目した創薬は今後の医薬品開発において重要な位置を占めると考えている。本講演では、薬学の視点から生体医工学研究の重要性や応用可能性について、生体医工学を利用した薬学領域との融合の可能性についてこれまでの研究内容を報告する。

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© 2024 社団法人日本生体医工学会
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