生体医工学
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疑似CBCT画像を活用した潜在拡散モデルによるCBCT画像の画質改善
村橋 成紀中村 光宏中尾 恵
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2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 371-373

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抄録

Cone-beam Computed Tomography (CBCT)画像は,CT画像に比べてコントラストが悪くアーチファクトを多く含む.このことは診断や治療の妨げとなるため臨床医療における問題となっている.CBCT画像の画質改善についてはこれまでにも研究がなされているが,臓器変形が生じやすい領域では画質改善の前後で解剖学的構造が変化するという課題がある.本研究では,疑似CBCT画像を活用した条件付き潜在拡散モデルに基づくCBCT画像の画質改善方法を提案する.CT画像に対してサイノグラム領域と画像領域の双方で処理を行い,CBCT画像にみられるアーチファクト等の画像特徴を有した疑似CBCT画像を作成した.この疑似CBCT画像をモデルの学習に活用することで,解剖学的構造の維持と画質改善の両立を実現する. 提案手法の有効性を確認するため,66例の骨盤部CT-疑似CBCTペアデータを用いて学習したモデルを8例の実CBCTデータに適用した.実験の結果,改善前後で構造変化が生じた画素数は従来法の1/1000以下となり,提案手法が解剖学的構造を維持した画質改善に有効であることを確認した.また生成画像と参照画像間のCT値分布の相関係数は0.916となり,従来法と同程度のCT値改善が可能であることを確認した.

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© 2025 社団法人日本生体医工学会
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