2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 393-395
【背景】動脈ラインを確保する際に実施されるアレンテストは、橈骨動脈と尺骨動脈の手指領域への血流分布を確認するために、手掌の色調変化を目視で評価し、赤みが戻る時間を測定し、橈骨動脈の依存度を判定する検査である。簡便であるが、主観による目視評価であるため、判定に不確実性が生じる危険性がある。本研究では、カラリメーターを用いて定量的に皮膚色を評価し、アレンテストにおける客観性の向上を図ることを目的とした。
【方法】2024年12月に同意を得た20~24歳の健常者31名を対象とした。橈骨動脈および尺骨動脈を圧迫し、30秒間で15回掌握運動を行った後、脈波消失を確認し尺骨動脈の圧迫を解除し、皮膚色変化をカラリメーターでRGB値を測定し、同時に手背に装着したINVOSで組織酸素飽和度(rSOsub2/sub)を記録した。検討項目はRGB値、純赤色からのユークリッド距離より算出した赤差(相対的赤色度)、およびrSOsub2/subとした。
【結果】圧迫時にR値とrSOsub2/subの低下が、尺骨動脈圧迫解除時にG値とB値の低下およびrSOsub2/subの上昇が観察された。目視による赤みの回復は、相対的赤色度の増加として捉えられた。また従来の目視によるアレンテストでは色変化が不明瞭な症例でも同様の変化を確認できた。
【結論】カラリメータを用いてRGB値を測定することで、アレンテストにおける手掌の色調変化を定量的に評価することができた。