2025 年 Annual63 巻 Proc 号 p. 469-470
本研究の目的は、脳卒中患者が自主的に上肢麻痺訓練を行えるリハビリテーションプログラムを開発することである.脳卒中後の上肢麻痺などの障害に対してリハビリテーションが重要な役割を果たしている.入院中のリハビリテーションは通常、脳卒中の急性期(発症後数日から数週間)と回復期(その後の数か月)の段階で行われる.本研究はこの期間におけるリハビリテーションを支援するためのコンピュータアプリケーションを開発する.
ここでは患者の指先トレーニングで使用されるペグボードに焦点を当て、そのアプリケーション開発について述べる.理学療法士や作業療法士の指導の下で患者が指先トレーニングを実施する.このトレーニングにはペグボードが使用される.ペグボードを用いたトレーニングでは腕を動かしてペグ穴に刺さっているペグ(ピン)をつまみ、ペグ穴からペグを抜く.次に腕を動かしペグを再度ペグ穴に挿入するといった動作を繰り返す.
本稿では、腕を動かしてペグをつまむという動作までを模倣するために専用の治具を製作した.この治具は、治具上部にある2つの面を親指と人差し指でつまむ構造になっている.治具上部の2つの面を親指と人差し指でつまむ際に、治具内部に仕込まれているトーションバネによる反発力が両指に伝わる.これでペグの親指と人差し指でつまむ指先運動を実現している.ここではそのトーションバネによる適度な反発力について調査した.