主催: 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
先進国では、自動車が引き起こす環境問題の解決とともにリサイクルの重要性が認識されている。日本では2005年1月より本格実施された「自動車リサイクル法」の改正に向け、国内の利害関係者が積極的に意見交換・検討を始めた。また、韓国も2008年1月から施行された「資源循環法(自動車・家電リサイクルを含む)」の是非について、国内における産業界・廃車業界などが激烈な議論を行っている。自動車リサイクルに関して、とくに中国の自動車リサイクル事情については車・劉(2006)・平岩(2006・2007)など、先行研究成果が限られている。つまり、政策動向定期的な調査報告、現地の基礎資料は非常に乏しい状況である。 本稿では以上の国際情勢を鑑み、まず過去3年間の中国の現地調査結果に基づき、中国の自動車リサイクル政策・最新な動向を整理・分析した。さらに、上海市システムの中核的位置づけにある大型トラック解体工場(H社)を事例として取り上げ、中国におけるELV(End-of-Life Vehicle)処理の実態の一端を把握することが本研究の目的である。