廃棄物資源循環学会研究発表会講演集
最新号
選択された号の論文の265件中1~50を表示しています
A1 ごみ発生・排出抑制(1)
  • 藤倉 まなみ, 三浦 里佳子
    セッションID: A1-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    大学生200人に対する調査の結果、風で飛ばされる・落とす・置き忘れる等の意図しない散乱経験がある人は72%で、ポイ捨ての経験者21%より多い。非意図的散乱経験のある物品は、菓子や飴などのプラスチック製包装が多く、ペットボトルもポイ捨てと同程度であった。非意図的に散乱させたことに気づいた場合、ペットボトルやレジ袋など大きな物品であれば拾われる傾向にあるが、ティッシュペーパーや飴等の個包装になると、20%以上の人が全く拾わないか歩かなくてすむ範囲でしか拾わない。ポイ捨て経験があると拾いに行く距離は有意に短くなる。拾いに行く行動は、地面に落ちたことによる汚れや時間の余裕のなさ、悪天候で諦められやすくなる。散乱ごみの防止のために「ポイ捨て禁止」と啓発されるが、非意図的な散乱をして拾わない人は自分がポイ捨てをしているとは認識していない。今後は「落としたものは必ず拾おう」という啓発も必要である。

  • 恒松 雅, 大下 和徹, 塩田 憲司, 高岡 昌輝
    セッションID: A1-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、日本の廃棄物処理関連施設からのMPs排出状況の把握、MPs除去に有効な排水処理の明確化を目的とした。計8施設を対象とし、各排水中MPsの個数濃度、種類、粒径、排水処理での除去挙動を調査した。別途アンケート調査により排出原単位を算出し、排水経由でのMPs年間排出インベントリーを推定した。結果は、原水と処理水中のMPs個数を比較すると99.9 %以上が除去され、排水処理の効果が窺えた。MPsの除去には、砂ろ過、膜処理、活性炭吸着、キレート樹脂塔などのフィルターが有効であるといえた。排出インベントリーは一般廃棄物の都市ごみ焼却施設から下水道へ29.6~2,100 kg/year、公共水域へ1.04~77.6 kg/year、プラスチックリサイクル施設から下水道へ18.4~203 kg/yearなどと算出され、環境中への影響は小さいと結論づけた。

  • 舟木 賢徳
    セッションID: A1-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    河川浮遊ごみのほとんどは使い捨てプラスチックである。そして、その2割は発泡スチロールである。発泡スチロールは、風に飛ばされやすく、細かくなって拾うのが大変である。特に危惧するのは、ビーズ法発泡スチロールと、風に飛びやすい発泡ポリスチレンシートの2種の発泡スチロールである。ボート置き場では、ボートの側面に防舷材フロート(浮き)にも使われ、船がぶつかれば、ポリスチレンの粒がポロポロ落ちる状態になっている。ポリスチレンの粒になっていたら、拾うのは不可能。そもそもマイクロプラスチック化して海洋汚染する発泡スチロールを海洋で使うべきではない。安いから使われており、タイ等の途上国では、大量に使い捨てされ、海洋に流出しやすい状態になっている。環境税を課し、得た税金で海洋生分解性プラスチック等の発泡スチロール代替材に補助金をかけて普及を促すことを提案する。

  • 杉﨑 康弘, 小城 直也, 島岡 隆行
    セッションID: A1-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、物体検出のYOLOと呼ばれるAI技術を用いて、古紙分別を支援するシステムを構築し、その精度について検証した。本システムは、12種類の紙製品の画像を入力し、AI(YOLO)でその位置を検出し、その種類を判別する。使用したデータは、学習用が画像を計6,000枚、検証用が1枚に複数種類の紙製品が写っている画像を計1,500枚とした。結果、検出・識別が可能であった割合(mAP)は71.4%であった。また、紙製品の重なりがある画像を除去した画像を使った場合では、mAPは83.6%であった。今後、検出精度を向上するためには、紙製品の重なりがあるケースや写真を撮影する角度の種類を多く学習することが挙げられた。

  • 横張 暢宏, 小西 友彦, 小林 英樹, 鈴木 慎也
    セッションID: A1-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    福岡市では、市内一般家庭から排出される不燃ごみについて月1回の頻度で戸別収集している。収集可能な家庭系不燃ごみは、金属類、ガラス類、陶磁器くず、園芸用土、小型家電類等である。当センターでは、今後の更なる循環型社会構築に向け、再資源化可能物や希少金属含有物等の混入状況等についても調査を実施しており、今回、2005年度(平成17年度)から2022年度(令和4年度)までの家庭系不燃ごみの組成、及び、近年排出量が増加傾向である家電製品について、経年的な排出状況の推移も解析した。その結果、家庭系不燃ごみの組成の推移について、金属類の排出量が増加し、ガラス類は国内生産量に合わせて排出量が減少したと考えられた。家電製品について、地区特性を解析すると、年齢層が低く一世帯あたりの人数が少ない地区において、「25cm×10cm未満」の電気・電子機器の排出個数が多くなる傾向が見られた。

A2 ごみ発生・排出抑制(2)
  • 袁 媛, 石 佳凡, 納富 信
    セッションID: A2-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    新型コロナウイルス感染の急拡大は観光関連産業に甚大な影響を与えたが、2022年11月からの水際対策の緩和などの結果、訪日外国人を中心とした観光需要が増加する傾向がみられる。そのような中、特に観光地でのごみのポイ捨てなど不適切な排出が問題となっているが、日本の細かなごみ分別への理解が困難であることも一因であると予想される。本研究では、街頭アンケートを通じて訪日外国人観光客のごみ分別の意識と実態を掘り下げ、観光客が直面するごみ処理の問題点と改善に向けた要点を明示することを目的とする。調査結果の整理と分析から、日本の訪日外国人観光客のごみ分別に関する理解、容器包装識別マークの理解には日本滞在の経験が影響する可能性が高いこと、特に訪日経験が無い観光客はごみ種類や分類への理解が低いことがわかった。訪日の早い段階での種類や分類方法への理解促進とわかりやすく伝える情報提示の導入が必要かつ効果的である。

  • Fatimah Syakura Azhari, Misuzu ASARI, Yuta ANDO, Takuro UEHARA, Yoshi ...
    セッションID: A2-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    The wide use of single-use cups or plastic bottles have become standard due its practicality and convenience, leading to the accumulation of plastic waste in the environment where proper waste management is absent. Although plastic recycling has vastly improved, reducing waste at source or reusing material is priority. To overcome this, behavioural change from dependency to single-use plastic bottles or cups to refill bottles is required. A shared socio-environmental space, such as office, is a potential medium for interventions to nudge behavioural change. This research aims to address factors influencing the employees’ motivation to use refill bottles. This research conducted open survey to 200 employees of SATO Corporation in Tokyo, which were participating in a refill bottle use project with Zojirushi Corporation. Data was explored using thematic analysis following the guideline in a codebook created in advance. This study discovered 10 factors associated with motivation to use refill bottles according to the COM-B and TDF frameworks. The main findings include specific contexts identified in beliefs about capabilities, beliefs about consequences, goals, reinforcements, and habits regarding refill bottles use. The findings are expected to aid decision of intervention to capability or opportunity aspects adjusted to these motivational factors.

  • 岡山 朋子, 米野 海生
    セッションID: A2-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    マイボトル用の給水スポットのない大正大学構内に、給水機を1台、2023年7月に3週間設置することで、ペットボトルごみの排出量が減ることを証明するため、社会実験を実施した。効果測定は、給水機導入前の6月の1週間と、導入後の3週間に廃棄されるペットボトルの本数を計量して比較した。さらに、学内の自動販売機のペットボトル飲料の売上の推移、給水機からdispenseされた水の量、アンケート結果などから評価した。結果としては、6月と比べて7月のペットボトル廃棄量は増えたが、一方で利用者の9割はペットボトル飲料の購入が減ったと答えている。実際には、給水機で使われた水の量、1550本程度のペットボトルごみ発生抑制につながったものと考えられる。

  • 山川 肇
    セッションID: A2-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、量り売りの惣菜及び液体の調味料・洗剤・ボディケア商品等をマイ容器で購入する行動に焦点を当てて、その全国的な実施状況と受容可能性を明らかにすることを目的として調査を行った。その結果、惣菜類の実施率が2~3割と高めで、量り売りの商品をマイ容器で買えるようになった場合にある程度実行できる人の割合(実行可能性)は6割弱、あまりできないと思う人も合わせた割合(許容性)は8割弱とかなり高いことが明らかとなった。一方、液体調味料・洗剤類等の実施率はいずれも1割前後と低いが、実行可能性は2~3割、許容率も4割前後と必ずしも低くないことがわかった。あわせて関連するマイ容器による販売事例の存在を報告した。

  • 瀬口 亮子
    セッションID: A2-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    使い捨てカップ、食器は、長らく使用削減の必要性が認識されながら、国レベルの法制度において規制している例は稀であった。しかし、海洋プラスチック問題の深刻化等から使い捨てプラスチック使用抑制のしくみづくりが世界中で加速する中、2020年代に入り、フランス、ドイツなどが、使い捨てカップ、食器等を対象とする制度を施行開始した。また、これらの国々では、飲食店のリユース食器シェアサービス等、新たなビジネスも誕生し、広がり始めている。本稿は、これらの国の新たな制度と関連ビジネスの普及状況等について現地調査、文献調査をもとに検証し、日本におけるしくみづくりについて考察する。

  • 楊 奕雨, 森 朋子
    セッションID: A2-6-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、大学生を対象とした古着の回収・リユースシステムを構築することにより、消費者ニーズを満たすとともに、古着の有効活用も同時に目指している。本研究で設計する古着回収・リユースシステムでは、汚れや破れといった損傷が無いにもかかわらず、着用していない「不用衣服」を対象とする。大学キャンパス内に回収ボックスを設置し、不用衣服を集め、選別を経て、学祭などのイベントで大学生に譲渡・再販するシステムを想定した。このシステムにより、生産、消費、廃棄・放置という直線的な流れから、生産、消費、回収、譲渡・再販売、消費という循環的な流れに変えることができる。研究目的の達成のため、東京都市大学環境学部に在籍する学生を対象とし、アンケート調査を実施し、大学生の古着の利用状況、不用衣服の所持状況、大学キャンパス内での古着回収・リユースシステムに関するニーズ等を把握した。

  • 舟木 賢徳
    セッションID: A2-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    海洋プラスチックについては、2015年に発表されたJambeckらの、海洋に累積滞留しているとされるプラスチック約1億5千万tの推計値は過大である。河川水面清掃業務に従事した経験から、ミッシングプラスチックのほとんどは、深海ではなく、河川敷、海岸に滞留している。そして、河川敷、海岸こそが、マイクロプラスチックの発生場所である。ここでは、絶えず、日光の紫外線を受けるとともに、潮の干満等により、水に濡れたり、乾いたりを繰り返すことで、マイクロプラスチック化していく。すなわち、マイクロプラスチックが誕生する場所は、河川敷・海岸である。その発生を防止する方法は、使い捨てプラスチックの発生抑制と、海岸・河川敷に滞留しているプラスチックの除去、及び、各河川に自動ごみ取機を設置して、河川を通じて海洋に流出するプラスチックを防止することが必要である。

  • Febrian Rizkianto, Fajri Mulya Iresha, Tomonori Ishigaki, Masato Yamad ...
    セッションID: A2-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    Solid waste management (SWM) is a critical issue in urban areas globally, including Yogyakarta City, Indonesia. The closure of the Piyungan landfill has intensified the need for sustainable waste management alternatives. This study examines the current state of municipal solid waste (MSW) in Yogyakarta and explores the potential for producing refuse-derived fuel (RDF) from rejected fractions. Yogyakarta generates approximately 298.87 tons of MSW daily, with a significant portion being organic waste, followed by plastics and paper. Waste pretreatment processes are important to meet RDF standards. Efficient source segregation and establishing large-scale Material Recovery Facilities (MRFs) are essential steps toward reducing landfill dependency. These measures can significantly reduce environmental impact and maximize resource utilization, promoting a more sustainable and efficient waste management system for Yogyakarta.

  • 久保田 耕介, 張 式鐸, 小川 聡久, 壺内 良太, 小野田 弘士
    セッションID: A2-9-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    ごみ収集・運搬事業では、人手不足に対応するため、非接触化や自動化に関する技術にニーズがある。本研究は、非接触型ごみ収集を社会実装するための要素技術の開発とシナリオ構築を目的としている。そのなかで、非接触型ごみ収集を実現する要素技術のひとつとして、ごみコンテナの運搬を可能とする自律走行型ロボットを開発した。将来的な公道での実装がターゲットとなるが、道路交通法等の制約を受けないテーマパーク等の特定空間内は早期の社会実装が期待できる。本報では、特定空間内におけるユースケースおよび動くごみ箱の導入の提案を報告する。

A3 物質フロー分析・性状分析
  • 川西 亮太朗, 中山 裕文, 島岡 隆行
    セッションID: A3-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    近年,農業分野から排出される廃プラスチックの適正処理に関する多くの研究が進められているが,農産物の品目別にみたプラスチック資材の使用量,排出量を整理した研究は十分とは言えない.そこで,本研究では農産物を果実的野菜,葉茎菜類,根菜類,穀物類,花卉類に大別し,ストック型プラスチックとフロー型プラスチックに分類してマテリアルフローを推計することを試みた.

     ストック型プラスチックの使用量(g/m2)は,果実的野菜が840,葉茎菜類は320,根菜類は0,穀物類は2.2,花卉衣類は580であった.フロー型プラスチックの使用量(g/m2)は,果実的野菜は12,葉茎菜類は10,根菜類は0.97,穀物類は0.33,花卉類は5.9であった.一方、年間排出量(g/m2)は,果実的野菜350,葉茎菜類は63,根菜類は0.97,穀物類は0.64,花卉類は140であった.

  • 丹羽 忍, 朝倉 賢, 阿賀 裕英, 福田 陽一朗, 山口 勝透, 小野 理
    セッションID: A3-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    2017年末の中国による廃プラスチック受入禁止などの社会情勢の変化を踏まえ、日本ではプラスチック資源循環促進法を制定し、廃プラスチックの国内循環の強化を図っている。本研究では、中国の受入禁止前後の2016年と2018年の北海道の産業廃棄物処分実績報告書の情報からデータベースを構築し、廃プラスチックの処理フローを推計した。その結果、北海道内で処理される廃プラの処理量が若干減少(約7%)したこと、再生利用量は約19%減少したこと、報告書を提出した産廃業者自らによる埋立処分量が約40%増加したことなどを明らかとした。今後は、2019年度のデータも用いてさらなる分析を進め、中国の廃プラ受入禁止との関連を具体的に検証していく。また、産業廃棄物だけでなく、一般廃棄物も含めた北海道内の廃プラスチック処理に関する包括的な課題解決を目指していく。

  • 佐々木 創, 和田 英樹, 塩飽 敏史
    セッションID: A3-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    客観的かつ効率的な観測に基づく街中プラスチックごみの定量化手法は世界的に見てもまだ確立されていない。

    そこで本研究では、まず廃プラスチックが陸域から水域に流入する定量化モデルを(株)共同で開発し、その上でスマートフォンアプリ(ピリカ)を通じた市民科学によって得られた街ごみ画像を解析し、街中プラスチックごみの水域流入量の計測を実施した。

    ある場所Lでの定量化モデルは、水辺への流入量InB(L)と直接流入量InW(L)と清掃量が分かれば流出量合計は推定できる。そこで実測を3回実施し、水辺に散乱するごみと水路に落下したごみをピリカで撮影後にごみを回収することで把握した。

    1回目と2回目の差分データよりもクリーンアップ後の3回目のデータは減少しており、窓割れ理論の通りごみ拾いイベントの効果を確認できた。

  • 熊丸 博隆
    セッションID: A3-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究ではプラスチックの投入・生産・廃棄段階における環境への影響の評価をライフサイクルアセスメントより行い、現在のプラスチックリサイクルにおいて、単純焼却のみ、マテリアルリサイクルのみ、サーマルリサイクルのみの3つのシナリオを仮定し、その違いを評価・比較した。本研究では「プラ再資源化フロー図」(一般社団法人プラスチック循環利用協会)に掲載されている、投入段階・排出段階・処理処分段階のプラスチック推定重量に関するデータを使用した。得られた分析結果より、単純焼却では、廃棄物発生量は減少するが気候変動に大きなマイナスの影響を与えうることがわかった。また、マテリアルリサイクルやサーマルリサイクルなどでは気候変動にはほとんど影響を与えないが廃棄物や他の化学物質等の排出が進む可能性を示唆する結果が得られた。

  • 野口 英剛, 藤田 哲丸, 福田 竜一, 釜谷 智彦, 浅利 美鈴
    セッションID: A3-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    プラスチック問題が世界的・地域的な社会課題となって久しい。各地で解決に向けた施策の検討や導入も進められているが、課題解決が困難とされる場所の一つが、島嶼地域/国である。廃棄物・資源循環全般に言えることであるが、漂着ごみが無視できないことに加え、人口規模が小さいためリサイクル等のスケールメリットが出ず、島外処理には輸送コストがかさむなど、制約も大きいためだ。今回、樹脂判別センサーを用いて沖永良部島で海岸漂着プラ、一般廃棄物プラの材質分析、重量分析を実施した。これら分析結果をもとに今後の島内循環の可能性と発生抑制の可能性を検討していく。

  • 鴇田 稔, 小島 淳一, 平田 貴博, 野口 真一, 西川 美穂
    セッションID: A3-6-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    建設工事において,地盤の掘削等に伴い副次的に排出されたものを「発生土」と呼ぶ.発生土をその性状で分類すると,泥濘化した「泥土」と,それ以外の「土砂」とに区分される.一方,発生土を法的見地から分類すると,産業廃棄物である「汚泥」に該当する「建設汚泥」と,発生土から建設汚泥を除いたもの,すなわち産業廃棄物に該当しない「建設発生土」とに区分される.ここで注意を要するのが,見た目の性状が酷似している泥土と建設汚泥である.掘削工事から発生する泥状の掘削物及び泥水を泥土と呼ぶのに対し,泥土のうち,廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるものを建設汚泥と称する.建設汚泥は泥土の一部であるが,泥土には,これ以外に,産業廃棄物ではなく建設発生土に分類される浚渫土,そして建設汚泥にも浚渫土にも該当しない泥状の建設発生土の3種類がある.本報は,泥土と建設汚泥の違いについて考察したものである.

  • 森 勇輔, 関戸 知雄, 土手 裕
    セッションID: A3-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、農業用廃プラ組成や排出実態を明らかにし、各種データから排出量や種類を推定するモデルの構築を目標とした。宮崎県を事例とし、構築したモデルを実際の廃プラ排出量と比較することで、その精度の検証を行った。廃プラの排出実態調査より、農薬容器や肥料袋の排出実態を明らかにした。得られた農業用廃プラスチック種類ごとの排出原単位を用いて、廃プラスチック排出量推定モデルを作成した。児湯3町が求めている廃プラの排出量の実績値と推定値を比較したところ、農ビは約0.92倍、農ポリは、約1.7倍差がみられたが、おおむね廃プラ排出量の傾向を把握することはできた。

  • 朝倉 賢, 丹羽 忍, 山口 勝透, 福田 陽一朗, 阿賀 裕英, 小野 理
    セッションID: A3-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    海洋プラスチックごみ問題や気候変動、諸外国の廃棄物輸入規制強化を受け、国内におけるプラスチック資源循環の促進は重要な課題となっている。北海道では、産業廃棄物として排出される廃プラスチック類の約3割が中間処理を経ずに直接最終処分されていることが報告されており、プラスチック資源循環の促進のためには直接最終処分される廃プラスチック類に関する詳細な実態把握が重要となる。本研究では、北海道内の産業廃棄物処分業者の処分実績データを用い、廃プラスチック類の直接最終処分と中間処理の運搬距離を比較・分析した。結果として、直接最終処分の運搬距離は、それ以外の処理である中間処理に比べて短いことが明らかとなった。この結果より、排出事業者にとって直接最終処分することは少なくとも運搬コストの面で合理的な選択肢となっている可能性があり、運搬コストの低減に繋がる施策の重要性も示唆された。

A4 海外事例・調査
  • JIE SUN, Yuta Ando, Fatimah Syakura Azhari, Misuzu Asari
    セッションID: A4-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    Understanding global plastic consumption behaviors is crucial as concerns over plastic pollution rise. This study examines consumer behavior and awareness regarding plastic bottle and shopping bag usage in Japan, France (Paris), USA (New York), Indonesia (Jakarta), and China (Shanghai). Utilizing a web-based questionnaire, we collected data from 4526 residents, focusing on personal information, environmental attitudes, and plastic usage patterns. Results indicate distinct consumption behaviors across the five countries. In 2014, Japan had the highest weekly plastic bottle usage at 3.5 bottles per capita, which decreased to 3 bottles by 2024. Conversely, other countries saw a significant increase in usage over the same period. For plastic shopping bags, Japanese consumers used an average of 0.73 bags per week, the lowest among the countries surveyed, largely due to the 2020 implementation of a plastic bag charge and the availability of eco-friendly alternatives. In contrast, Jakarta exhibited the highest usage at 5.71 bags per week. The study highlights the need for further research on the relationship between environmental awareness and actual behavior. Future research will also expand to include additional countries with successful plastic reduction policies to enhance global management strategies.

  • 呉 文睿, 篠木 幹子
    セッションID: A4-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、ごみ分別指導員を対象に、インタビュー調査を行った。その結果、ごみ分別指導員の募集、トレーニング、管理、給料の実態が明らかになった。また、ごみ分別指導員の制度は住民のごみ分別行動の変化と継続における重要な制度であることが示唆された。しかし、ごみ分別指導員制度はいくつの課題がある。第1に、指導員制度は政府の補助金に依存しているため、持続可能性が確保されていない。第2に、指導員の高齢化が進んでいる。また、安全性や給料が保証されていない状況である。第3に、指導員制度がなくなれば、住民の行動が継続できない可能性がある。

  • 哈 布尓, 藤原 健史, Spoann Vin, Phat Chandara, 築地 淳
    セッションID: A4-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    カンボジア王国トンレサップ湖水上集落における廃棄物収集・処理システムの構築が緊迫な課題といえる。地域住民参画型廃棄物収集システムを構築するために、廃棄物の量と種類を特定する必要がある。これは村人たちの住むボートハウスから出るごみ組成を分析するが必要である。そこで、本研究ではカンボジアトンレサップ湖にある4つの村落を対象にボートハウスのごみ組成を検討した。さらに、ボートハウスから排出されたごみのうちプラスチック廃棄物に対して詳細な解析を行った。プラスチックごみの推定量1軒あたり1日180.91gであり、水上集落住民1人あたり1日40.21gのプラスチックごみを排出することが分かった。これは、アメリカ、中国、カンボジアの平均(それぞれ1人あたり1日340g、120g、70g)と比べて非常に低いものの、インドの1人あたり1日10gよりは多い値である。

  • 大沼 洋子
    セッションID: A4-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本論文は、2017 年から2023 年に国際協力機構(JICA)が大洋州島嶼国9か国で実施した技術協力プロジェクト「大洋州地域廃棄物管理改善支援プロジェクト(J-PRISM)2」において、サモアで2021 年から2022 年に実施した、廃油の回収・保管パイロットプロジェクト、ランドファーミング活動を通じ、確認された課題及び得られた教訓をまとめている。

  • 劉 暁玥, 劉 庭秀, 大窪 和明
    セッションID: A4-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    モンゴル国の遊牧民は十分な電力が得られず、エネルギー貧困の状態にある。2000年初頭に太陽光パネルや鉛蓄電池の普及が進めたが、遊牧民のエネルギー使用や、鉛蓄電池の保有・廃棄行動の実態分析が不足しており、エネルギー格差の改善効果と環境影響に関する議論は乏しい。特に、鉛蓄電池の消費と廃棄の問題が顕在化している。本研究は遊牧民を対象に、エネルギー利用実態と廃棄物発生状況を調査した。その結果、遊牧民は、太陽光パネルと自動車用鉛蓄電池を使っているが、適正利用の知識が殆どなく、発電効率が悪いだけではなく、過充電による火事、使用済み鉛蓄電池の不法投棄などによる環境汚染、健康被害を引き起こす可能性が高いことが確認できた。今後は、遊牧民のエネルギー貧困と格差を改善し、使用済みバッテリーの回収、国際資源循環ネットワークの構築、ニッケル水素及びリチウムイオンバッテリーの適正処理と再資源化の考察が必要である。

A5 住民意識・環境教育
  • 越水 重臣, 松山 剛, 松嶋 宏行, 毛利 真希子, Tian Yuan, Ziwei Wang
    セッションID: A5-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    アップサイクルとは「役割を終えて使われなくなった製品や素材を使って、別次元の価値ある製品に作り変えること」である。廃棄物を減らし資源循環型社会を形成するためには、アップサイクルは3R(リユーズ、リデュース、リサイクル)と並んで重要な取り組みである。しかしながら、日本においてアップサイクルの認知度は低く、その取り組みも盛んとは言えない。そこで本研究では、まずアップサイクルに関する現状把握と受容可能性をアンケート調査した。続いてアップサイクルの実践者たちにインタビューを行い、アップサイクルを成功させるための要件(商品のデザイン性が高く、製造技術がしっかりとしており品質が高い、そこに物語性が加わるとさらに良い)を導き出した。さらには、それら要件を満たすようなランドセル・アップサイクルの商品企画に取り組んだ。本発表ではアップサイクルのアンケート、実践者インタビュー、商品企画の結果について述べる。

  • 野方 直樹, 村野 昭人
    セッションID: A5-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、アンケート調査を用いて、レジ袋有料化の効果について分析した。その結果、レジ袋受け取り頻度に影響する主な要素として、性別、年齢、店の利用頻度が挙げられた。また、元からレジ袋を受け取っていなかった人よりも有料化によって受け取らなくなった人が多いことが分かり、レジ袋有料化の効果があったと考えられる。さらに、レジ袋を1枚10円になると多くの人が受け取りを辞退することや、レジ袋有料化に不満がある人ほどレジ袋を受け取る傾向があることがわかった。これらの結果から、レジ袋有料化の効果を数値化し、その意義をPRして消費者を納得させることが重要と考えられる。今後の課題として、レジ袋有料化開始前後の環境に対する意識について詳細な調査を行い、意識が変化する要因を分析することが挙げられる。

  • 北坂 容子, 山本 耕平, 有間 俊彦, 川上 正智
    セッションID: A5-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    昨今の脱炭素化の流れの中で、脱プラスチックの影響によりこれまでプラスチック製だったものから紙製のものへと切り替わることが想定される。このことにより、雑がみとなる古紙の発生量が増加や今後古紙がさらに複雑化する可能性があるため、古紙再生促進に向けて消費者が分別しやすいよう雑がみ回収品目や名称、回収方法等の検討を進める必要がある。

    本調査では、公益財団法人古紙再生促進センターが2024年に創立50年を迎えるにあたり、「紙リサイクル中長期的課題への取り組み」と題して古紙再生促進センター及びダイナックス都市環境研究所にて紙リサイクルに関わるステークホルダーである古紙問屋や回収業者、製紙メーカー、自治体、消費者等へヒアリングやアンケート調査を行い、次の半世紀に向けて何を目指すべきなのか、中長期ビジョン策定に向けた課題の整理を行った。

  • 安藤 悠太, 孫 潔, Fatimah Syakura Azhari, 浅利 美鈴
    セッションID: A5-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    世界各国でプラスチック対策が進む中、国によって環境配慮意識や行動の実態は異なっている。本研究では、プラスチック消費に関する行動の国際比較と要因の分析を目的とし、日本、パリ、ニューヨーク、ジャカルタ、上海の5地域においてアンケート調査を行った。プラスチック製品に関する13種類の環境配慮行動の実施状況を尋ねたところ、マイバックの持参は5地域すべてで40%以上の人が取り組んでいると回答した。一方、マイボトルやマイカップの持ち歩きは日本のみで実施割合が40%を下回り25.7%となったが、ペットボトルの分別に取り組む人は49.2%と他の地域より多くなり、飲料消費に関して他地域と異なる傾向が見られた。また、環境問題についての情報接触と会話の頻度はどちらも、日本では数週間に1回程度以下の回答が最多となり、それぞれ50.2%と67.9%となった。今後は、これらの頻度が環境配慮行動に及ぼす影響を検討する。

  • 高橋 史武
    セッションID: A5-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    東京工業大学環境・社会理工学院融合理工学系が提供する学部1年生向け講義「科学・技術の創造プロセス(融合理工学系)」では、ペットボトル用のごみ箱をデザインして作成し、大岡山キャンパスに一週間設置してペットボトルの回収実験を行うという内容となっている。学生は1)多くのペットボトルを集める、2)キャップを外させる、3)異物混入を少なくする、の3点を目標にペットボトル用ごみ箱をデザインし、作成した。回収実験後にごみ箱のデザイン選好性を定量化し、デザイン選好性がキャップ除去率には影響を与えていない反面、良いデザインほど異物混入率が増加する傾向にあることを本研究は見出した。

  • 汪 章博
    セッションID: A5-6-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本文では、中国の複数の都市に共通して適用可能な住民満足度指標を構築・検証し、住民満足度が行動への影響を与えるかを明らかにするため、杭州市、寧波市、南昌市、宜春市の4市から各400人程度、合計1612人の市民を対象にインターネット調査を実施した。

    調査結果から、施策ごとの住民満足度に関連する質問項目を因子分析することにより、4つの因子が抽出された。4の因子に対し、都市別に確認的因子分析を行った結果、4市それぞれにおいて高い因子負荷値が得られ、指標の適用性が確認された。

    ゴミ処理システムに対する住民の総合満足度はステーションの管理と美化、ゴミ運搬時の問題点、情報提供と啓発活動に大きく影響されることが明らかになった。しかし、総合満足度が住民の分別行動に直接的な影響を与えないことも示され、分別行動はゴミ排出と分別の利便性および情報提供と啓発活動によって有意に影響を受けることが明らかになった。

  • 田川 直史, 齋藤 明良, 瀬戸 啓二
    セッションID: A5-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    我々は、海ごみの発生抑制の実効性向上に向けて、海洋ごみ問題を楽しみながら学び、問題解決に向けた行動を自らが考えて動き出すためのきっかけを作る、小学生向け教育プログラムを開発した。本プログラムでは、学習ポイントを「海洋ごみ問題と自分たちの生活のつながりを考える」と「海洋ごみ問題解決のために自分たちにできることを考える」におき、そして、海洋ごみ問題をより身近に捉えられるように生み出した「ウミプラー」というキャラクターを活用している。本プログラムに参加した小学5・6年生にアンケート調査を実施し、その学習効果や満足度、各学習コンテンツの有効性を検証した結果、8割以上の児童に狙い通りの学習効果を与えられることが明らかになった。また、各学習コンテンツの有効性も明らかになり、全体設計を最適化する方向性も得られた。今後は、本プログラムが活用されていくように内容の最適化と普及に努めていく予定である。

  • 田川 直史, 齋藤 明良, 瀬戸 啓二
    セッションID: A5-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    和歌山市友ヶ島の「漂着ごみ問題の解決」と「観光振興」の両立を目指し、観光客を海洋ごみ回収側にするイベント「友ヶ島探検ウォークラリー」の効果検証について報告する。本イベントでは、ビンゴゲーム(マス目は島内の観光スポットと漂着ごみで構成)を楽しみながら観光地と漂着ごみの現場を巡るウォークラリー形式をとり、そして、海洋ごみを擬人化した「ウミプラー」というキャラクターを活用することで、大変で汚いというごみ拾いの従来の概念を変える体験を提供している。本イベントに参加した市民に対してアンケート調査を行って仕掛けの効果を検証したところ、ごみ拾いに対する「楽しさ」や「やりがい」などが向上すること、海洋ごみ問題の自分事化が進むこと、そして、イベントに対して高い満足度やリピート意向を示すことが明らかになった。本コンテンツが和歌山市内や他地域でさらに活用されていくように、和歌山市らと普及に努めていく。

A6 食品ロス
  • 瀬田 康子, 山川 肇, 岡山 朋子, 渡辺 浩平, 野々村 真希
    セッションID: A6-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    食品ロスは世界的な問題で、日本でも食品ロスの約半分は家庭から排出されている。本研究では、食品ロス量の計測にクラウド型自動計量システムを用い、日本国内の20~70代の2人以上の世帯、119世帯を対象に合計6週間の家庭系食品ロス削減実験を行った。参加者には食品ロス分別と専用ごみ箱への投入を依頼し、介入期には食品ロス削減を支援する3つのツール、冷蔵庫整理グッズ、写真撮影、食品管理アプリを介入策に用い、89世帯に割り当て、残り30世帯を対照群とした。介入前後の食品ロス量は、ツール別で、整理グッズ176g(51%)、写真177g(43%)、アプリ129g(29%)減少した。介入群全体では、2週間平均で約160g (約40%)減少し、約3か月後のフォローアップ期にリバウンドが発生しなかった。また、混合計画の二元配置分散分析による分析では、交互作用は危険率5%未満で有意となり、介入の効果が示唆された。

  • 荻野 慎吾, 市川 学
    セッションID: A6-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    食品ロスは平成27年に国際連合で採択された「持続可能な開発目標」のターゲットの1つに盛り込まれるなど、国際的に削減の機運が高まり続けている。本論文では、消費者の食品ロス削減行動を促すためのゲーミング・シミュレーションの動向を把握することを目的として、簡易的なシステマティックレビューを行った。先行研究より、家庭系食品ロスに関する消費者の行動と介入を整理し、特に、コミュニケーションと密接に関連するゲーミング・シミュレーションに着目した。文献レビューにより、冷蔵庫内の整理、食品の記憶保持、食品供給チェーン管理、食育を題材とした4つの研究を比較・分析し、それぞれが異なるターゲット層に対して消費者の食品ロス削減行動を促していることが確認された。特に、ゲームを用いた教育が記憶保持や意識向上に効果的であるが、年単位のより長期的な効果を追跡していないことが課題であると結論づけた。

  • 森 朋子, 大迫 政浩
    セッションID: A6-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    社会のトランジションを促すためには、他者と協働し、社会に働きかける環境行動(以下、シビック・アクションと呼ぶ)を実践できる人材を育成することが欠かせない。そこで本研究では、シビック・アクションの実践に影響を及ぼす要因やプロセスを理論面から研究したうえで、それらの成果を踏まえたモデル教育プログラムを設計し、学校現場での実装を進めてきた。今回の発表では、2022年度から2023年度にかけて大田区立大森第六中学校で実装したシビック・アクション促進を目的とした教育プログラムのうち、食品ロス問題をテーマに取り組んだグループに焦点を当て、プログラムの詳細と生徒の変容について報告する。

  • 野々村 真希, 山川 肇, 岡山 朋子, 渡辺 浩平, 瀬田 康子
    セッションID: A6-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、自治体の家庭ごみ有料化と生ごみ分別収集施策が食品ロス関連行動に与える影響を明らかにすることを目的として、家庭ごみ有料化実施自治体(茅ヶ崎市、半田市、廿日市市)、生ごみ分別収集実施自治体(豊橋市、長岡市、上越市)の住民、および対照群としての全国住民を対象にアンケート調査を実施した。そして、傾向スコア・マッチングにより共変量を調整したうえで、住民の食品廃棄頻度、食品ロス削減行動実践度を比較した。その結果、家庭ごみ有料化または生ごみ分別収集を実施する自治体の住民の食品廃棄頻度は全国住民と同程度あるいは高いことが明らかになった。また、これら施策実施自治体住民の食品ロス削減行動実践度が高いという一貫した結果は得られなかった。施策の実施前後比較をしていないため行動変化を論じるには限界があるが、本研究では、これら施策の住民の行動への実際の影響は小さいことが示唆された。

  • 渡辺 浩平, 先山 厚子
    セッションID: A6-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    東京都小平市と帝京大学において、さまざまな食品について賞味期限をどのくらい過ぎても食べることを考慮するか、質問票調査を行なった。長期保存可能な缶詰であっても15%以上の回答者が賞味期限後は食べない、過ぎたとしても2,3日までという回答が帝京大生で65%、小平市で30%弱であった。60歳代を中心とする小平市の回答者に対して、帝京大学生のほうが圧倒的に賞味期限以降で考慮する期間が短かった。

     大学生の回答では菓子パンやスナック菓子など接する機会の多い食品で賞味期限後考慮期間が比較的長く、卵や瓶詰めなど自ら判断する機会が少ないと思われるもので期間が短い傾向が見られた。

  • 松井 康弘, 福森 陸央, 古川 温士
    セッションID: A6-6-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、令和4年10月に実施した食品ロス削減キャンペーンの第2弾として、デパート・スーパー等の食品売場にWebカメラを設置し、Webアプリを通じたライブ配信によって割引食品の購買喚起=食品ロス削減を目指す「のこり福キャンペーンPart2」を実施した。ライブ配信に加えて、割引食品購入・てまえどりの2種類の食品ロス削減行動の啓発策として農林水産省等の啓発資材・学生川柳を食品売場に掲示し、来店客の意識付け・行動変容を図った。キャンペーンの参加者を対象として、キャンペーン前後2回のWebアンケート調査を行い、アプリの利用実態、啓発資材の認知率、食品ロス削減行動の変化等の啓発効果を検討した。

B1 廃棄物管理・計画(1)
  • 山脇 敦, 小中 庸夫, 川嵜 幹生
    セッションID: B1-1-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    資源循環を進めるため製造業者等が必要とする質と量の再生材が確実に供給されることを目指す「資源循環の促進のための資源化事業等の高度化に関する法律案」が本年5月22日に可決、成立した。再生材の品質確保は従来から求められてきたところであるが、同法律案により再生材の需要が高まることが想定される。再生材製造側には利用側の要求を満たす再生材の品質・量や市場性の確保が求められ、そのための適切な製造管理、再生材のトレーサビリティの確保、社会全体でのGHG削減を見込める再生材の製造が必要になると考えられる。既存の都道府県や第三者機関による再生材の認証制度における品質等の規定事項を整理して、再生材の利用を促進するためには、①広範な再生品を対象とした全国レベルでの再生品認定、②GHGの全体的な抑制効果がある再生品の認定、③これらの情報の一元的な公開が必要なことを示した。

  • 田中 勝
    セッションID: B1-2-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    多くの自治体のごみ処理に使う焼却処理施設はエネルギー回収をする発電設備を有している。2000年に公布された循環型社会形成推進基本法では、廃棄物のうち有用な物質あるいは有用なエネルギーを含有する循環資源に着目して物質回収(MR:マテリアル・リカバリー)にするかエネルギー回収(ER:エネルギーリカバリー)の選択をして循環資源の循環的利用を推進することを求めている。そこで、色々な素材の容器包装の分別収集への取り組みの実態を明らかにし、効率的なごみ処理の推進上の課題を明らかにし、ごみ処理の財政負担縮減のための提言をしている。

  • 三上 貴士, 井上 陽仁, 上田 智幸, 宮本 大樹
    セッションID: B1-3-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    プラスチック資源循環促進法(略称)では容器包装リサイクル法に基づくプラスチック製容器包装とともにプラスチック使用製品廃棄物の分別回収・再商品化に努めることとされ,市区町村では,プラ資源の分別回収・再商品化に向けた取組が加速化しているところである。本研究では,鳥取県中部地域を対象とし,容リプラやプラ資源の分別回収の実施によるごみ処理システムを評価した。その結果,容リプラやプラ資源の分別回収の実施は温室効果ガス排出量や最終処分量の削減が可能となることが明らかになった。容リプラやプラ資源の再商品化を持続的に実施するためには収集運搬の効率化や地域内でのシステム構築を図ることが重要であることが明らかになった。

  • 渡部 卓也, 杉﨑 康弘, 中山 裕文, 島岡 隆行
    セッションID: B1-4-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    日本における古紙回収には規定の認知度や実践度に向上の余地があり、実行を促す努力が必要である。本研究は、九州大学伊都キャンパスの農学部と工学部を対象に、ナッジを用いて古紙回収行動を促進することを目的としている。調査対象は各学部の学生および職員であり、12月7日から1月末まで、工学部には環境リスクに関する警告ポスター、農学部には情報提供ポスターを設置し、学生食堂に三角形のポップアップ広告も設置した。結果として、ポスター設置後も古紙回収量に大きな変化は見られず、可燃ごみに混入した古紙の割合は工学部で4.7%、農学部で4.3%増加した。アンケートでは、工学部の57.2%、農学部の40%が古紙回収の重要性や分別ルールを理解したが、行動を変えたのはわずかだった。行動経済学のトランスセオレティカルモデルに基づき、行動変容には認知度向上だけでなく、具体的な行動を促す支援が必要である。

  • 田中 眞尋, 鈴木 航, 智葉 大介, 寺沢 良則
    セッションID: B1-5-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    近年、ごみ焼却施設のニーズとして、CO2 排出抑制の観点から施設の安定稼働とコスト削減の両立が求められている。また、ごみ焼却施設では、ベテラン運転員不足の懸念などにより、各現場主体の運転・管理だけではなく、属人性を極力排除したシステムによる支援が重要となってきている。当社ではこうした背景を踏まえ、運転スコアリング機能を有したAI遠隔監視・運転支援システムを構築し、施設の運転容易性・操業安定化に取組んでいる。本稿では、当社のAI遠隔監視・運転支援システムの運転スコアリングのうちプラント重要機器の故障予兆検知の役割を担う機器スコアリングについてA焼却場で実施した検証結果を交え報告する。

  • 新 佑太郎, 新井 イスマイル, 松永 拓也
    セッションID: B1-6-O
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    ごみ焼却施設の運営において、作業員の安全管理は重要な要素の1つである。ごみ焼却施設の安全管理において、作業員の位置推定は重要な役割を果たす。しかし、ごみ焼却施設のようなGNSS(Global Navigation Satellite System:衛星測位システム)が機能しない屋内での測位手法は確立していない。そこで、本開発では、既存の設備であるWi-Fiを活用した低コストな屋内測位システムの実現を目指した。

     既設であるWi-FiのRSSIを利用した、機械学習による測位手法を構築した。また、測位システム導入に必要な座標とセンサデータを紐づけたデータ計測に係る時間を短縮するために、SLAMやWi-Fi RSSiセンサを併用した装置を作成した。

     実際の清掃工場で、平均誤差 2.78m を達成した。また、座標とセンサデータの紐づけ作業に係る時間を従来の1/00に短縮した。

  • 山田 正人, 石垣 智基, 立尾 浩一
    セッションID: B1-7-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    一般廃棄物(ごみ)の収集事業は社会生活を支える重要なライフラインの一つである。本研究は、2020年から始まった新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の流行下で環境省が発出した「廃棄物に関する新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を検証・評価し、今後の感染症流行時にごみ収集事業の継続に必要な感染防止対策を提示することを目的としている。この評価検証のために感染リスクアセスメント表を用いる。収集事業を行っている政令指定都市などの自治体に対して、これまでの検討で特定した感染が生ずる場面が現れる頻度を尋ねるアンケート調査を行ったので、その結果について報告する。

  • 吉田 綾, 細井 山豊, 兼澤 真吾, 萩原 理史, 加山 俊也
    セッションID: B1-8-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では、繊維分野の施策に関するロジックモデル(施策の実施に伴って得られる成果を踏まえ、政策目標までの道筋を構造化するもの)を作成する。既存の取り組みを可視化することで、繊維資源の循環の質を向上させるために必要な政策・施策を検討することを目的とする。

  • 林 大地, 小野田 弘士
    セッションID: B1-9-P
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/09
    会議録・要旨集 フリー

    日本の産業廃棄物および資源循環の分野において、デジタルトランスフォーメンションが進まない原因は、導入による効果測定が十分に行われていないためであると考えられる。産業廃棄物の処理にはマニフェストと呼ばれる伝票の運用が義務付けられているが、そのままでは売上・請求に紐づけられないため、それらを補足する別の紙伝票を運用している実態があり、完全な電子化・システム化に至っていない現状がある。本研究では、産業廃棄物処理業を行っている業者の従来システムの現状を分析するとともに、石井美也紀が提唱する活動記録管理(Work Chain Management)によるシステムを実装することでメリットになりうる、トレーサビリティとしての有効性の考察や従業員の作業負荷軽減効果を定性的に明らかにする。

feedback
Top