抄録
赤潮による魚介類の斃死やそれに伴う人間の経済活動への悪影響は、科学が発展し、さまざまな自然現象が明らかにされつつある現在でもなお生じている問題である。本研究では、超高圧水中衝撃波による水生生物の処理技術に着目し、薬品を用いずに赤潮を死滅処理する技術の実現性を把握することを目的とした。具体的には、対象微生物をヘテロシグマと実海水とし、処理圧力を変化させることで、死滅率への影響を調べた。また、処理後にミクロ観察を行うことで、衝撃波を受けた植物プランクトンの死滅機構について調べた。
細胞外皮がタンパク質によって構成されるプランクトンは、衝撃波の圧力が大きくなるに連れて、死滅率が上昇する。また、衝撃波に影響を受けにくい外皮で構成されるプランクトンは、圧力の限界値以内では死滅率の値に影響を受けないが、その限界値を超えてしまうと細胞内の酵素をはじめタンパク質に影響が及び、死滅すると考えられる。