抄録
世界最初のごみ焼却炉特許GB1876年3125号について、関連の文書を元に考察した。発明者のA.Fryerは砂糖固化の技術者であり、彼の最初の発想はごみ焼却ではなく、自身の発明である有機性液体の濃縮技術(Concretor)の応用による、し尿ごみの衛生的処理と肥料化であった。その背景には都市への人口の集中によりし尿処理方法が変化したことがある。しかし、Fryerが当初示した、ごみ焼却炉、炭化炉、濃縮装置の組み合わせによるし尿ごみの総合処理システムは早いうちに崩れ、最終的にはごみ焼却炉のみが残って、19世紀終わり頃にはごみ処理の最も普通の装置・方法として普及していくこととなった。