抄録
廃乾電池を酸浸出によりマンガンその他の元素を浸出させ、ろ過したのち、ろ液にオゾンを作用させ、高純度マンガンを得る湿式プロセスについて検討した。廃乾電池粉粒体を用いて、硫酸溶液と共に種々の還元剤を選択して添加し、酸浸出処理を行った。その結果、還元剤として過酸化水素、硫化ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムを用いた場合には、粉粒体中のマンガンが全量浸出した。浸出後のろ液にオゾン処理を行った。オゾン処理を開始すると同時に、黒い固形物の生成が確認できた。反応終了後の回収マンガンは55.5%となり、これはMnO2として88%相当になった。結晶水分を除くとほぼMnO2としてマンガンを高純度に回収できていることが分かった。マンガン以外の主要な構成元素である亜鉛との分離は良好であった。