抄録
近年、琵琶湖等の湖沼域で沈水植物が過剰繁茂し、その処理が社会的問題となっている。この様な高含水系バイオマスの処理にはメタン発酵が適していると考えられるが、沈水植物の種や植物体組成は刈取る季節によって変動し、それらがメタン発酵に影響を与えると考えられる。本研究では、琵琶湖に優占する3種の沈水植物 (オオカナダモ、コカナダモ、センニンモ)の化学組成の季節変化とメタン生成量の関係を調査した。センニンモのリグニン含有量は他の2種と比較して1.5~5.1倍高く、難分解性を示した。オオカナダモ、コカナダモ、センニンモのメタン生成量は、それぞれ211~252、189~265、118~165 mL g-VS-1を示し、センニンモで最も低い値を示した。統計解析の結果、メタン生成量は種の違いと同じ種内の季節の違いの双方に影響を受けるが、特に種の違いによる影響が大きいことが示された。