抄録
同じ管理型最終処分場内の埋立終了時期が約20年間異なる埋立区画を対象とし、浸出水水質とボーリングコア溶出試験から各種イオン類の溶出特性を評価した。埋立時期が新しい区画の浸出水では易溶出性のCl-とNa+が高濃度に検出されたが、溶出試験ではSO42-とCa2+の溶出量が多く、難溶性塩であるCaSO4・2H2Oとして埋立層内に存在していることが示唆された。埋立から長時間経過した区画においては、浸出水・溶出検液とも総イオンに対する塩化物イオンの相対割合が小さくなり、代わりに炭酸系イオン類(CS)とNH4+の相対割合が増加した。この原因として、有機窒素化合物分解生成物の影響が考えられた。また、溶出試験ではCl-に比べてNa+の含有量が多く、Ca2+よりも多いことから、Na+を埋立層内に留める何らかのメカニズムの存在が示唆された。