下水汚泥エネルギー化率は2020年度で約27%にすぎないため下水汚泥からのより一層の資源エネルギー回収による脱炭素社会への貢献が望まれている.そこで下水汚泥の資源エネルギー化に有効な方法と考えられる下水汚泥の熱分解ガス化に着目した.温度,水蒸気の有無,オリビン(流動媒体兼改質触媒)の有無の3つのパラメータが熱分解生成物に与える効果の定量化を目的とし詳細な基礎的研究を実施した.研究の結果以下の知見が得られた.温度が高いほどチャーやタールの生成量は減少しガス生成量が増加した.800℃水蒸気有りの条件においてチャーの水蒸気ガス化やタールの水蒸気改質がみられた.同条件下で下水汚泥とオリビンの混合物を熱分解した場合は他の条件では確認されなかったタールが検出されたほか,タールとガスの高位発熱量の合計が最大となった.GC-MS定性分析から温度とタール・ガスの生成メカニズムとの関連性が示唆された.