主に自動車の部品として用いられるワイヤーハーネス(WH)は大部分が直径数mm程度のポリ塩化ビニル(PVC)に覆われた銅線によって構成されている.近年自動車部品のリサイクルの重要性が高まっているが,WH由来の細線より銅線とPVCを回収する効果的な方法はいまだに確立されていない.当研究室ではこれまで,細線を適切な有機溶媒に浸漬させることで膨潤させ,ボールミルを用いて適切な衝撃を細線に与えることで剥離を行う湿式膨潤剥離法により,20cm程度のケーブルの剥離に成功している.本研究では,スケールアップしたベンチスケールリアクターを用いた湿式膨潤剥離法を実施し,60~150cmの細線の剥離挙動について検討した.その結果,適切な処理量と細線膨潤時の温度にて銅線と被覆材を100%剥離することに成功した.今後最適条件の検討を進めることで,処理量を増大させ,銅線や被覆材の破砕を防いだ剥離の実現が期待される.