2003 年 6 巻 2 号 p. 53-68
営利活動を行う企業が、なぜ非営利なマーケティングに関わらなければならないのだろうか。これまでの議論の多くは、その論拠を「マーケティングが社会的に認められるためには、当然のこととして非営利な活動に関わるべきだ」というような価値判断に求めてきた。しかしながら、マーケティングの取り扱う財や手段が不可避的に外部効果を発生させることに注目し、そうした外部効果にマーケティングがどう対処するのかという問題を考慮するならば、それは価値判断に拠らない論拠の構築に道を開くものであるという考え方ができる。そこで本稿では、環境問題を考慮したマーケティングに注目して、このような考え方をより明らかにした。