抄録
微小循環における流れの特徴は、血管径と赤血球の大きさが同じオーダーであるが故に、赤血球の振る舞いが重要になることである。一方、シミュレーションの観点からは、様々な分野で成功を収めている有限要素法などの微分方程式を離散化する手法も、変形する多数の界面を追うことは、得意ではない。我々は、メゾレベルにおける視点から、現象を簡単なルールで記述することにより、流体中に多数の排他的な閉界面を形成することに成功した。これを赤血球モデルの基礎とし、新しいアプローチを提案する。赤血球の変形、赤血球間の相互作用は、局所的な物理的要因によって自発的に発現する。