Dynamics & Design Conference
Online ISSN : 2424-2993
セッションID: 112
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112 端部質量を有するはりの非線形連成振動における軸方向慣性を考慮した解析
丸山 真一永井 健一藤原 久嘉山口 誉夫
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抄録
薄肉はりの非線形振動に関する従来の解析では,軸方向の慣性力を無視する取り扱いが行われてきた.しかしながら,はりに他の要素と接合され端部に質量が付加された場合には,軸方向の固有振動数が低下し,軸方向慣性力の影響が顕在化することが予想される。本研究では,端部質量を有するはりの非線形連成振動について,軸方向慣性を考慮した解析を行った.解析モデルを図A1に示す.はり端部は,軸方向に弾性拘束を受ける.無次元化された系の運動方程式と境界条件は,以下のようになる。{Γ^2u_<,ττ>-n_<x,ξ>=0, w_<,ττ>+(w-w_0)_<,ξξξξ>-(n_xW_<,ξ>)_<,ξ>-p_s-p_dcos ωτ=0, (A1) u=w=w_<,ξ>=0, (ξ=0), Γ^2m_e u_<,ττ>+k(u-u_0>)+n_x=0, w=w_<,ξ>=0, (ξ=1) (A2) なおu, wははりの軸方向変位とたわみであり,軸力n_xはn_x=u_<,ξ>+1/2(w^2_<,ξ>-w^2_<0,ξ>) (A3)のように表される.解析では,最初に静荷重と軸圧縮変位による静的変形u(ξ), w(ξ)を最初に求めた.その後,静的平衡位置を原点とした座標変換u(ξ,τ)=u(ξ,τ)-u(ξ),w(ξ,τ)=w(ξ,τ)-w(ξ)を行い,動的応答u(ξ,τ), w(ξ,τ)を定めた.はり軸心の伸縮による幾何学的非線形性と軸方向慣性力を共に考慮するために,軸方向変位とたわみの連成振動を解く必要がある.たわみと軸方向変位を以下のように展開した. w(ξ,τ)=Σ^^M__<j=1>b_j(τ)ζ_j(ξ),ζ_j(ξ)=(ξ^2-2ξ^3+ξ^4)cos(j-1)πξ u(ξ,τ)=Σ^^M__<p=1>b_p(τ)Σ^^M__<q=1>b_q η_<pq>(ζ)+Σ^^M__<p=1>Σ^^M__<q=1>d_<pq>(τ)η_<pq>(ξ)+Σ^^N__<n=1>C_n(τ)μ_n(ξ) η_<pq>(ξ)=kΘ_<pq>(1)ξ-Θ_<pq>(ξ), μ_n(ξ)=sin p_nξ Θ_<pq>(ξ)=∫^ξ_0ζ_p(θ)_<,θ>ζ_q(θ)_<,θ>dθ (A4) ここで,ζ_j(ξ)は著者らの一人が提案したはりの形状関数であり,たわみの境界条件を満足する.μ_n(ξ)は,たわみwとの連成を無視して得たuの固有振動モード,関数η_<pq>(ξ)はたわみの形状関数ζ_j(ξ)との二次の非線形連成を考慮した,軸方向変位の座標関数である.修正ガラーキン法により非線形連立常微分方程式を導き,固有振動形を規準座標とする規準形方程式に変換した上で,調和バランス法により非線形周期応答を求めた.図A2に,座屈後はりの周波数応答曲線を示す.図中,黒色の太い実線は軸方向慣性力を考慮した本解析の結果を,灰色の太い実線は軸方向慣性力を無視した従来の解析結果を示す.細い実線は実験結果である.記号(1,1)で示す一次振動モードの大振幅主共振応答に注目する.軸方向慣性力を考慮しない従来の解析結果と実験結果は,大振幅の領域において一致していなかった.本解析による軸方向慣性力を考慮した結果では,大振幅領域において応答が漸軟側へ移行しており,実験結果と良好に一致する結果が得られた.これより,端部質量が付加されたはりの大振幅応答では軸方向慣性力の影響が無視し得ないことを示すとともに,本解析の妥当性を確認した.
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© 2006 一般社団法人 日本機械学会
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