抄録
蒸気タービンの調速段では,部分負荷時の効率を向上させるため,ノズルの周方向の一部だけから蒸気を挿入する部分挿入が採用されることがある.このような部分挿入段では,動翼は1回転に1回,蒸気挿入部を通過するため,ショックロードを受けながら振動する.ショックロードによる翼の応答は一般には無視できないほど大きく,高サイクル疲労の原因になることがある.このため,ショックロードにより生じる振動応力を精度良く予測することは,調速段動翼の設計では重要である.本論文では,最初にCFDとFEMを利用して,ショックロードによる応答を簡便に評価する手法を提案する.つぎに,提案した定式化に基づき,簡略化したモデルを使用して応答解析を行い綴り翼構造とISB構造の応答特性を説明する.最後に,実際の綴り翼構造とISB構造についてショックロードによる応答解析を行い,両者の特性を比較する.