Dynamics & Design Conference
Online ISSN : 2424-2993
セッションID: 520
会議情報
520 弾性表面波皮膚感覚ディスプレイにおける視覚情報と触覚情報の融合
小谷 浩之高崎 正也奈良 高明水野 毅
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
バーチャルリアリティやロボットなどの遠隔操作等の分野において体性感覚のひとつである触覚の再現・提示の重要性が注目されている.触覚は力覚と皮膚感覚に大別され,この皮膚感覚はざらざら感,材質感,摩擦等の触感を受容する感覚であり,特に指先で鋭く知覚できることが知られている.力覚に関してはすでに製品化されているものも存在する.一方,皮膚感覚に関しても様々な研究が行われているが,製品化の例は見られない.そこで視覚に対するブラウン管や液晶ディスプレイ,聴覚に対するスピーカやヘッドフォンのように皮膚感覚を提示するデバイスを開発することが,本研究の基本コンセプトとなり,このようなデバイスを皮膚感覚ディスプレイと呼ぶ.これまでに弾性表面波(surface acoustic wave:SAW)を利用した皮膚感覚ディスプレイが提案されており,スライダ越しに左右になぞることで,特に「ざらざら」,「つるつる」といった粗さを提示することができる.従来の弾性表面波皮膚感覚ディスプレイは, SAWの励振・伝播を行うステータ振動子に圧電単結晶材料であるニオブ酸リチウム(LiNbO_3 128° Y-cut)を使用しているが,材料の性質から大面積のウエハの生成が困難とされ,また任意の形状に加工する場合には硬脆材料であることからコスト問題が生じていた.この問題を解決するためにSAWの励振・伝搬方法について再検討し,本研究では新たに非圧電材料表面へのSAWの励振・伝搬を行い,従来の弾性表面波皮膚感覚ディスプレイのステータ振動子を非圧電媒体で構成した.本研究では非圧電材料にSAWを励振・伝播させる方法を間接励振と呼ぶことにする.非圧電材料には安価で汎用性が高く絶縁体であるガラス基板を採用した.圧電材料とガラス基板の組み合わせにより間接励振を実現する.実現のための構成をFig.A1に示す. LiNbO_3によりSAWを励振させ,ガラス基板に間接的にSAWを伝播させる.本方法を用いることで弾性表面波皮膚感覚ディスプレイのサイズや形状,コスト問題の解決することができる.製作したガラス基板を用いた皮膚感覚ディスプレイをFig.A2に示す.液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)と組み合わせることにより,視覚と触覚を融合させ付加価値の高い皮膚感覚ディスプレイを製作した.
著者関連情報
© 2006 一般社団法人 日本機械学会
前の記事 次の記事
feedback
Top