Dynamics & Design Conference
Online ISSN : 2424-2993
セッションID: 606
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606 階段昇降可能な車椅子の開発 : 先行車輪による安全性の向上
井垣 竜介阿波 啓造岩壺 卓三
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抄録
近年、我が国では高齢化社会の急速な進展や交通事故などにより、下肢不自由者が増加している。総務省調べによる『人口推計』によると、65歳以上の人口(老年人口)は、2547万人(平成17年10月1日現在)を超え、総人口(1億2779万人)に対して占める割合は、約19.9%となっており、また、平成17年版『障害者白書』(平成17年6月発表)によると、我が国の身体障害者の総数は351.6万人にもおよび、このうち肢体不自由者の数は174.9万人で、このうち、下肢不自由者の数は60万人以上であり、年々増加傾向にあるということから、車椅子利用者が増加している状況がある。現在、バリアフリー法の制定により、様々な施設で、身体障害者の自立や社会生活を支援する取り組みがなされている。一日に多くの人数が利用する駅などの公共機関においては、エレベータやスロープなどの設置が進んではいるものの、必ずしもすべての建築物に設置されているとは限らない。また、既存の建築にバリアフリー化を適用するのは、多大な費用と時間を必要とすることから、現実的な問題として困難である。そのため、階段昇降機構の開発の重要度が大きくなってきておりいくつかの階段昇降機器がすでに利用されている。しかしながら、これらの問題点として階段に機器を取り付ける必要があることや、大多数が介助者を必要とすることが挙げられる。また、いくつかの研究機関では介助者なしでの階段昇降が可能な機器の開発を行なっているが、その多くが大型であるため、重量も重くなっている。我が国、日本では、土地の問題などで、ゆったりとした階段を作ることが困難であったり、木造となっている事も多いため、操作性や、階段の強度の面での問題もあり、残念ながら、実用化には至っていない。そこで、本研究では、機構や制御を単純なものとすることで、重量の軽量化、小型化を目指し、また、階段昇降のみに用いるのではなく、通常の平地での移動との両立を考え、平地移動効率も考慮し、車椅子自体に、階段昇降可能な機能を付け加えることで、車椅子の移動の障壁となる段差や階段などの物理的障害を乗り越えられる福祉機器の研究を行なうことを目的としている。
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© 2006 一般社団法人 日本機械学会
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