抄録
発電プラントなどの大容量化や高出力化に対応して,その主要機器の一つである熱交換器管群の高密度化と管群内を流れる流体の高速化が図られるようになってきた.それに伴い流力弾性振動と呼ばれる激しい振動が発生するようになり,プラントの重要部品である熱交換器管群の破損・漏えい事故に至るため,Comorsの論文以来これまで様々な取り組みがなされてきた.また,重大な事故を契機として流力弾性振動防止のための設計ガイドラインも設定された.本研究では管群の隣接管同士を簡単なデバイスで拘束して流力弾性振動が発生しやすいモードの発生を抑えることによって,管の固有振動数と減衰が同じ状態でも流力弾性振動が発生する限界流速を上昇させることができることを検討した.まず,流れ方向に管を2個ずつ拘束した場合は,流力弾性振動が発生する限界流速が約1.7倍に上昇することを解析と実測で確認することができた.次に,流れ方向に一列拘束した場合は更に限界流速が上昇し,計算では約2.7倍になることが予測されたが,実験では風洞のファン容量の関係で2.3倍の流速までは流力弾性振動が発生しないことを確認したにとどまった.