本研究では,衝撃吸収材料の衝撃吸収性能を評価するため,飛翔体の高速貫入現象に着目している.しかし,衝撃吸収材料が砂や磁性流体,磁気粘性流体など不透明な物体の場合,貫入時の飛翔体の観察は困難である.既存の研究では,水やアクリル板などの透明物質を対象とした飛翔体の高速衝突・貫入実験が行われてきたが,不透明流体を対象とした飛翔体貫入に関する研究はほとんどなく,貫入現象の観察手法に関する提案も極めて少ない.そこで本研究では,飛翔体の後端に棒を取り付け,棒の目印を高速度カメラで観察することにより,不透明流体内部での飛翔体の貫入速度履歴を計測する手法を提案した.まずは,水をターゲットとした予備的な衝突実験を行った結果,棒の長さが220mm以上の場合,水しぶきが観察に影響を与えないことがわかった.今後,棒の長さ220mmの飛翔体を速度約220m/sで水への衝突実験を行うことで,貫入現象の詳細な理解を目指す.