機械學會誌
Online ISSN : 2433-1546
鐵鋼の高温硬度に就て
濱住 松二郎
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1932 年 35 巻 184 号 p. 761-765

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抄録

一つの眞空高温度硬度計を考案し其構造と之を鐵鋼の高温度硬度測定に應用した結果とを述べた。此硬度計は硝子製二重管で、上方に石英製にしてタングステン線を用ひた加熱爐を吊るし、此中に試験用鋼球を下げる。適宜の温度に達した時電流を以て釣線を切る、試片球は管内を落下して台上の金敷に當り、跳ね返る。跳ね上る高さが硬度數である。眞空度は0・000001〜0・00001mmHg程度で、絶對に酸化する事なく、眞空度は放電管に由って簡便に推測する。アームコ鐵乃至1・2%の炭素鋼迄種々の鋼材を常温乃至900°迄試驗した結果、硬度は温度と共に漸減するが600°に青熱脆性に基因する極大が現はれる。硬度數hと試片球に出來た押形直徑dとの間にはhd^m=Cなる双曲線的關係があり定數mは鋼質に關係なく、定敷Cは鋼材の炭素含量に由つて變化する事を知つた。金屬球の製作は極めて容易で、硬度計の使用法も至極簡便である。

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© 1932 一般社団法人日本機械学会
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